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話題の本
特集 太平洋戦争を問う
 草思社は太平洋戦争に関連する本を厳選して出してきました。それほどの点数ではありませんが、それぞれが類書のなかで独自の力をもっているものばかりです。

 1945年9月、日本に進駐してきたアメリカ軍が一番恐れていて、その対策としてまずやったことは、二つありました。
 ひとつは、原爆の投下の詳細を隠蔽することでした。この間に、原爆は日本が降伏しなかったから投下したというフィクションを日本人に刷り込みました。それだけでなく原爆の悲惨さについて、報道することも禁じました。

 それともう一つは、この戦争の開戦責任がすべて日本にあり、アジア解放の戦いという側面をもっていたということを抹殺することでした。大東亜戦争という呼称を禁じて「太平洋戦争」とう呼称に変えさせます。草思社があえて太平洋戦争という呼称を使っているのは、日本人の多くがこの呼称になじんでしまったからです。

 そして、翌46年から3年間にわたって行われた極東国際軍事裁判(いわゆる東京裁判)でアメリカの計画は完成を見ます。この裁判でも弁護側は何度か原爆のことを持ち出すのですが、ただちに却下されてしまいます。

 アメリカは原爆の不道徳性と太平洋戦争にアジア解放の理念を日本人がみることをそれほど恐れたのでした。

 当然、裁判は歪んだものになりました。その結果多くの太平洋戦史はアメリカが組み立てた歪んだ線にそって書かれることになります。それは現在まで尾をひき、靖国問題にまで尾をひいていることはご存知のとおりです。

 草思社はこの戦争の歪められた歴史を可能な限り事実に近づけることをめざして太平洋戦争関係の本を刊行してきました。

 以下に掲げる出版リストにはそれが反映されているはずです。

<本の一部を立ち読みできます>

原爆を投下するまで日本を降伏させるな 原爆を投下するまで日本を降伏させるな
──トルーマンとバーンズの陰謀

鳥居民著

アメリカは「日本が降伏しないから原爆を投下したのだ」とずっと言い続け、日本人もまたそう信じ、多くの学者や研究者がアメリカがつくったフィクションを補強してきた。著者は膨大な資料の探索と洞察力によって遂にこのフィクションを覆し、実はトルーマンが原爆投下の機会をつくるため、原爆投下まで日本を降伏させないようにさまざまな工作をしたことを見事に立証している。05年6月に刊行されたこの本の出現によって、終戦史は大きく書き換えられることになるだろう。とくに、中学、高校の歴史の先生方にはぜひ読んでいただきたい一冊である。

普及版 太平洋戦争とは何だったのか 普及版 太平洋戦争とは何だったのか
──1941〜45年の国家、社会、そして極東戦争

クリストファー・ソーン著/市川洋一訳

太平洋戦争を知りたいと思ったらまず取り組んでもらいたいのがこの本である。いかにもイギリスの学者らしく、膨大な資料を縦横に駆使し、徹底して公平な視点からこの本を書いた。太平洋戦争がもっている意味を問い直した歴史的名著である。読後、読者はなぜ日本からこのような本が生まれなかったのかと思わずにはいられないだろう。この本の結論として著者は書いている。「日本は敗北したとはいえ、アジアにおける西欧帝国主義の終焉を早めた」と。中学、高校の歴史の先生の必読書である。

南京事件「証拠写真」を検証する 南京事件「証拠写真」を検証する

東中野修道著 小林進著 福永慎次郎著

本書は、東中野教授を中心とした南京事件研究写真分科会が「南京大虐殺」の証拠として使われている写真143枚を取り上げ、数万枚の関連写真と比較検討するなど、初めて総括的な検証を加えたものである。影の長さなどによって季節を特定し、初出をつきとめ、近年公開された国民党中央宣伝部の秘密文書を援用して、国民党の戦争プロパガンダとこれらの写真の驚くべき関係を明らかにした画期的著作

米英にとっての太平洋戦争(上) 米英にとっての太平洋戦争(下) 米英にとっての太平洋戦争(

クリストファー・ソーン著/市川洋一訳

太平洋戦争はアジアの権益と覇権をめぐる連合国同士の戦いでもあった。ローズベルト、チャーチル、蒋介石らに焦点を当てて、国運を賭けた彼らのひそかな争いを描き、連合国の正義に疑問を投げかけた衝撃の名著。

満州事変とは何だったのか(上) 満州事変とは何だったのか(下) 満州事変とは何だったのか(

クリストファー・ソーン著/市川洋一訳

太平洋戦争の起点といわれる満州事変の意味を徹底的に問い直す。事変の拡大には関東軍の独走だけが言われてきたが、実はこの事変の背後には、西欧諸国の権益争いが大きくからんでいたことを示す。
西欧諸国の論理による国際連盟という国際機構の弱点を鋭く衝いて、新たな解釈を示す。

太平洋戦争における人種問題 太平洋戦争における人種問題

クリストファー・ソーン著/市川洋一訳

西欧対アジアという図式的対立だけではなく、各人種間の差別意識、日本とアジア諸国の対立意識など、太平洋戦争の底流にあったさまざまな人種意識に光を当てる。最も簡潔に書かれた太平洋戦争中の人種問題。これ一冊で問題点が把握できる。

潜水艦伊16号通信兵の日誌 潜水艦伊16号通信兵の日誌

石川幸太郎著

この本は潜水艦乗り組みの下士官が毎日のできごと、心の動き、艦長への批判などをせきららにつづったものである。著者が通信兵だだためにこのような日誌を残すことができたのだった。著者が乗り組む伊16潜は開戦劈頭ハワイ真珠湾攻撃に特殊潜航艇を搭載して出撃、インド洋・マダガスカル沖の通商破壊戦に参加。その後ソロモン方面に進出、昭和17年11月5日で日誌は終わっている。この日誌は母港の横須賀に帰港したとき密かに妻の手に渡されたものである。日誌はさらに書き続けられたが、それは妻に渡されることはなかった。19年5月、伊16潜はブーゲンビル島沖で消息を絶つ。著者は下士官だったが、太平洋戦争下潜水艦乗り組みの下士官がこのような優れた日誌を残すことはなかった。貴重な一冊である。
(オンデマンド版のみ。お問い合わせは03-5225-6061またはhttp://www.d-pub.co.jp)

タラワ、マキンの戦い タラワ、マキンの戦い
──海軍陸戦隊ギルバート戦記

谷浦英男著

海軍陸戦隊と米海兵隊が死闘を繰り広げたタラワの戦いの全記録。43年11月、アメリカは完成したばかりの大機動部隊をギルバート諸島とマーシャル群島攻略に向けた。ミッドウェイ、ガダルカナルに米海軍3番目の攻勢である。迎え撃つのは5千名の海軍陸戦隊。数日の戦いで日本軍は玉砕し、米軍は1700名の戦死者をだした。ルーズベルトはこの損害に恐れおののいたという。著者は戦闘の直前まで中隊長をつとめていた人。日本海軍の美点と弱点をしっかりととらえている。

アメリカの日本空襲にモラルはあったか アメリカの日本空襲にモラルはあったか
──戦略爆撃の道義的問題

ロナルド・シェイファー著/深田民生訳

今次大戦を正義と人道主義を掲げて戦ったアメリカが、昼間の精密爆撃による軍事目標の爆撃が非効率であったことから、指揮官を交代し、3月10日の東京大空襲を皮切りに、夜間の焼夷弾による都市の無差別爆撃に転換し、同時に道徳心もマヒしていく過程を見事に描いていた初めての本。このようにしてついにアメリカは一瞬にして10万人を死に至らしめる原爆投下に突き進む。

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