なぜ中国共産党は「歴史認識」ができないのか
鳥居民
毛沢東を論じる北海閑人氏の文章は、香港の月刊誌『
『争鳴』は国事を論じる雑誌である。つねに中国共産党の指導部に向かって、政治改革を行なうようにと主張をつづけ、その政治手法の破廉恥さを批判し、政権幹部の上から下までの腐敗ぶりを非難し、中国国内のさまざまなニュースを伝え、中国国内で公開を禁止された論文を掲載し、政治改革を唱えたがために、中国から国外追放処分にされ、アメリカに亡命している人びとの寄稿を載せ、かれらが連名して趙紫陽の自由回復を求める文書など、政治要望の書簡を載せてもきた。
『争鳴』は、そのようなことはまったくない。ますます形骸化しつつある香港の「一国二制」の行方を見守る世界の人びとは、『争鳴』の存在を「炭鉱のカナリア」として注目しているために、中国共産党はその不倶戴天の敵に手はだせないのであろう。
この雑誌については知らない人が多いと思うので、もう少し説明を加えよう。毛沢東が死去したのは一九七六年である。『争鳴』はその翌年の一九七七年に創刊された。
中共党内の毛沢東思想の衣鉢を継ごうとする頑迷、独裁的な毛沢東主義勢力に対抗して、民主化、自由化を望む党幹部のひそかな支持があってのオピニオン誌の刊行だった。
すでに二十八年の歴史を持つ『争鳴』は、海外にいる多くの中国人に故国の現状を知らせ、世界の中国ウオッチャーに北京指導部内の暗闘を教え、「禁書」とされている中国国内でも、ひそかに読まれつづけている。
アメリカに居住するある中国人が、この百年、中国の民主化のために独裁と戦ってきたオピニオン誌は、一九五一年に発刊されて、五四運動の中心的存在となった
この月刊誌を読んでいつも思うことは、かつては毛沢東、部下の政治局員、省党書記まで、だれであっても、共産党は「進歩的階級」を代表しているのだといった大義を、自国民と外国人に押しつけるなんらかの信念とカを持っていたのが、いまは党総書記と党の幹部たちは、『争鳴』の温キ(キ=火へんに軍)氏の「専論」が、中共党は北洋軍閥と変わりない、ファシスト集団だとの批判に怒ってみせ、これを笑い飛ばしてみせても、まさにそのとおりなのだと胸中では思い、痛みと無力感が残るはずであるということだ。
毛沢東の中国とはどのようなものであったか、それを隠しつづけてきた中国とはなんであったのかを、中国内で論じる日がやがてこよう。北海閑人氏のこれらの文章もまたその扉を開く一助となる。
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中国がひた隠す毛沢東の真実 北海閑人 著 /廖建龍 訳 ISBN:978-4-7942-1443-0
定価:1,890円(本体1,800円) 判型:四六判 頁数:312頁 初版刊行日:2005年10月07日 |
