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 かつてマルクスが「共産主義」という概念を唱え、ニュートンが「万有引力」と言ったとたんに、当時の人びとに世界は、まったく違って見えたのではないか、と著者は言う。「概念」というものには、それほど強いインパクトがある。

「概念」とは現実の事象の中に共通性や法則を見つけて言葉にしたものだが、本書では哲学用語や各種理論などを中心に取り上げている。

「パノプティコン」という概念をまず真っ先に取り上げているが、これは最近では「テロ等準備罪」いわゆる「共謀罪」に反対するキャンペーンで朝日新聞が使っていた用語である。もともとは刑務所の設計構想で、「一望監視方式」と訳されるが、ミシェル・フーコーが『監獄の誕生』で監視社会化する現代社会についての比喩として使って有名になった。過剰な監視や規制が社会を委縮させるのだという反論に「パノプティコン」が使われるととたんに強くなる。概念があるのとないのとではがらりと変わるのである。

 概念は抽象的なものであるが、これを現実に当てはめて考えることで具体的になり、さまざまな示唆が与えられる、と著者は言う。2番目に取り上げている「野生の思考」という概念はレヴィ・ストロースがアマゾンの未開民族を研究して考えたもので、西欧的な「文明の思考」にたいしてあり合わせの材料を組み合わせて成果を上げる彼らのやり方を評価して言った言葉だ。例えば「原子力発電」が文明の思考だとすると地方の「道の駅」の発想などが典型的な「野生の思考」(ブリコラージュ=間に合わせ仕事)ということになる。

 この本には50個の概念が載っているが、このうちの数個でも自分の武器として使ってみてほしいというのが著者の提唱である。困難な現実を打ち破るために必要な知恵を与えてくれるかもしれない。

(担当/木谷)

齋藤孝(さいとう・たかし)

1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒、同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現在、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書に『宮澤賢治という身体』(宮澤賢治奨励賞)『身体感覚を取り戻す』(新潮学芸賞)、ベストセラーとなった『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞)などがある。近著に『語彙力こそが教養である』『こども 孫子の兵法』『夏目漱石の人生論 牛のようにずんずん進め』がある。

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