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膨大な情報を頭の中でどう知性に変換すればいいのか?

記憶することに能力を費やすのではなく、考えることに能力を使うべき時代

 現代において、人間は、自らの思考力をどのようなことに使うべきでしょうか。
いまや、ネットの爆発的な普及によって、誰もが大量の情報を簡単に手に入れることができるようになりました。単純な知識はネットで調べればすぐにわかるようになったので、覚えるためにわざわざ頭を使う必要が少なくなってきています。
 しかし、楽になった一方、あまりにも情報が簡単に手に入るようになったために、自分で考えたり、頭を使って工夫したりするクセがつきにくくなるという新たな弊害が生まれています。これはこの先人間を脅かすと言われる人工知能(AI)の急速な進捗が叫ばれ、変化が激しい今の時代に、大きな問題となっています。
 本書はこうした現状をふまえ、人間が「頭を使う」意義をあらためて問い直し、情報洪水時代の今だからこそ、自分の頭で考えることの重要性を説くものです。

「考えるとは情報を『調理』すること」「忘れてしまう情報は、どんどん捨ててかまわない」

 では、そもそも大量情報時代においてじっくり考えることとはどういうことなのでしょうか? たくさんの情報を使って何をすればいいのでしょうか? ……著者はこのような現代ならではの問題・疑問に答え、自らが実践する「頭の使い方」を具体的に紹介していきます。 
 本書の「知的に考える練習」を通じて、情報のたんなる受け売りではなく、どんな状況においても、自分自身の独自の考え、メッセージを頭の中から自由自在にアウトプットできる力が磨かれることは間違いありません。いわば、勉強においても、仕事においても、人生においても応用できる、あらゆる思考のもとになる「考える土台」が身につく本と言えます。
 本書は社会人はもとより、中学生や高校生でも十分読めるようにやさしい言葉で書かれています。ぜひ多くの方に知っていただければ幸いです。

(担当/吉田)

■目次より

1章 情報洪水時代で変わる「頭の使い方」
2章 頭の中に質の良い情報が集まる「網」を張る
3章 知的に考えるための「調理道具」を揃える
4章 情報は流れてくるまま、流しっぱなしに
5章 頭に残った情報は熟成し、やがて知性に変わる

(小見出し)●考えるとは情報を「調理する」こと●考える土台を鍛えれば、より高度な思考が可能になる●入ってくる情報は絞らず、意図的に間口を広げておく●あがかないで機が熟すのを待つ●いかに違う情報同士を積極的にくっつけていくか●教養や歴史の本当の意義●絶えず視点を変え、頭を揺らす思考実験を…

柳川範之(やながわ・のりゆき)

1963年生まれ。東京大学経済学部教授。中学卒業後、父親の海外転勤にともないブラジルへ。ブラジルでは高校に行かずに独学生活を送る。大検を受け慶応義塾大学経済学部通信教育課程へ入学。大学時代はシンガポールで通信教育を受けながら独学生活を続ける。大学を卒業後、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士(東京大学)。現在は契約理論や金融関連の研究を行うかたわら、自身の体験をもとに、おもに若い人たちに向けて学問の面白さを伝えている。著書に『法と企業行動の経済分析』(第50回日経・経済図書文化賞受賞、日本経済新聞社)、『契約と組織の経済学』(東洋経済新報社)など。

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