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どうして私には好きになってくれる相手がいないんだろう。

失われたモテを求めて
黒川アンネ 著

 本書は、小さい頃からずっと太っていることがコンプレックスで、自分に自信を持てず、異性との交際に消極的だった著者が、モテを求めて奮闘する2年半の様子を綴った記録です。

 シャネルの口紅を買いに行ったり、映画や本からモテのヒントを学んだり、ランニングをしたり、マッチングアプリ用に資生堂フォトスタジオで写真を撮ったり……。

 ある時は、整った顔立ちをしたファッションセンスの良い友人から「一人に執着してはダメだよ、次に行かなきゃ」「1年に100人と会え」とアドバイスをもらい、飲み会で知り合った男性を誘ってみます。

 またある時は、お笑い芸人が六本木ヒルズの多目的トイレで不倫をしていたという報道に接し、「私は(多目的トイレに呼び出されたら)行く側の人間かもしれない」と、恋愛関係の非対称性について考察を深めます。

 そしてまたある時は、「エロいと思ってほしいからパイパンにしているけど、実際には自分がすごく快適」との友人の勧めを受けて、陰毛の永久脱毛にチャレンジ。

 最終章では、海外の友人から精子提供を約束され、不妊治療を体験、一つの卵子を凍結するに至ります。

 「モテ」とは一体何なのか。なぜ人は誰かを求めるのか――。そんな根源的なテーマに取り組む著者の姿は決して他人事ではありません。誰もが一度はモテに悩まされたはず。是非ご一読ください。

(担当:渡邉)

【目次】

1 臆することなくシャネルで口紅を買う
2 失われたモテ
3 「ともかく人に会え」
4 子どもと避妊
5 どうしてモテたいの?
6 モテの途中下車?
7 一人でいること
8 (ソフィア・ベルガラに学ぶ)自信を持つこと
9 モテは生死に直結する―就職活動について
10 新型コロナ時代のシングル女性
11 明るい部屋でのおこもり生活
12 コロナ禍でモテを世界中で味わってみたら……
13  短絡的ハッピーエンド思考について
14 三浦春馬なき世界で
15 内から輝きを放つ、自信が香り立つ顔が私もほしい
16 思い直すとしっかりと傷ついている、そんな経験
17 「Go To行きませんか?」
18 銀座キラキラ生活で穏やかさの感触を手に入れる
19 どうして私たちはパートナーが欲しいと思うのだろう?
20 「パイパン」問題
21 ラフォーレ原宿で膣トレボール購入
22 一つの卵子を凍結できました
あとがき

著者紹介

黒川アンネ(くろかわ・あんね)
編集者、翻訳者、コラムニスト。1987年生まれ。一橋大学社会学部在学中にドイツに派遣留学。一橋大学大学院言語社会研究科修士課程修了。現在は都内の出版社勤務。
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