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冬景色の中へ、探しに行きたくなる不思議な現象の数々。

雪と氷の不思議とその科学を170点あまりの写真で紹介・解説する初めての図鑑

 「霜柱」と「霜」はどう違うのか? 池の水はどこから凍りはじめるのか? 美しい雪結晶ができる温度は? 本書はこのような雪と氷の不思議を美しい写真で紹介し、その科学を解説する初めての図鑑です。

 本書の著者は『楽しい気象観察図鑑』『世界一空が美しい大陸南極の図鑑』(いずれも草思社)など、空や気象に関する写真満載の本を多数著してきた武田康男さん。その武田さんがこれまで撮りためてきた雪と氷に関する現象の写真から、選りすぐって一堂に集めました。

 誰もが知っている、雪の結晶や池の氷などが美しい写真で紹介されるのはもちろんのこと、あまり馴染みのない雪と氷の現象の写真も数多く掲載・解説されています。たとえば、しぶき氷(湖などに風が吹いて巻き上がったしぶきが周囲の物体に凍りついたもの)、雨氷(氷点下まで冷やされ過冷却になった雨粒が地表の物体に落ちてきてすぐに凍ったもの)、ジュエリーアイス(北海道・十勝川から流れてきた透明な淡水の氷が、河口周辺の海岸に打ち上がったもの)、氷紋(氷の上に薄く雪が積もったとき、氷の下からしみ出した水が雪を融かしてできる模様)といったもの。雪国で暮らしている方も、改めてこうした現象を知れば、冬の空の下に本物を探してみたくなることでしょう。

雪道・雪崩・積雪などの被害を引き起こす、雪の性質も科学的に解説

 日本は実は、世界でも有数の積雪国です。雪と氷と言えば、雪国の方にはその美しさや恩恵以上に、危険や苦労の方が先にイメージされるかも知れません。本書では、除雪の苦労やアイスバーンの雪道の危険さ、雪崩や落雪による被害についても写真とともに紹介しています。積もった雪が「ざらめ雪」に変化したり、地吹雪で吹きだまりに吹き寄せられたり、あるいは屋根や電柱に冠雪がくっついていく様子など、雪害を起こす雪の性質についても、科学的に解説していますので、雪に困っている方にも興味深い内容となっています。

 また、富士山の12か月の雪化粧の変化を比較する写真や、南極やモンゴル、ロシア、北米など、海外の雪と氷を捉えた写真、あるいは高山の万年雪や、最近になって発見された日本の氷河の写真など、貴重な写真も多く掲載。雪と氷の現象の奥深さ、幅広さを感じていただけることと思います。冬の景色がこれまでと違って見え、雪や氷が待ち遠しくなる一冊です。

(担当/久保田)

武田康男(たけだ・やすお)

1960年、東京都生まれ。東北大学理学部卒業後、千葉県立高校教諭(理科)。第50次南極地域観測越冬隊員。気象予報士、空の写真家。日本気象学会会員、日本雪氷学会会員。現在、大学の非常勤講師、講演、執筆、写真・映像撮影、テレビ番組制作などをしている。著書に『楽しい気象観察図鑑』『世界一空が美しい大陸 南極の図鑑』『雪と氷の図鑑』(以上、草思社)、『雲の名前、空のふしぎ』『不思議で美しい「空の色彩」図鑑』(以上、PHP研究所)、『武田康男の空の撮り方』(誠文堂新光社)など。

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