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東京が面白い理由は、道路にある?

東京にはなぜアクロバティックな道路が多いのか?

 「東京道路奇景」とは東京の道路が織りなす奇妙な風景のこと。この東京道路奇景は枚挙にいとまがありません。道路の上にも下にも道路があり、さらにその下の鉄道まで合わせると8層にもなる多層構造(西新宿ジャンクション)。墓地の下やグラウンドの下を通る道路(千駄ヶ谷トンネル、青山トンネル)。11叉路にもなる多叉路(菅原橋交差点)……などなど。これほどまでに、奇妙な道路構造が多数ある都市は、日本国内は言うに及ばず、世界的にも珍しいと考えられます。東京道路奇景は、東京の新たな観光スポットになるかも知れません。

 本書では、それらの道路奇景を100点以上の図版・写真とともに紹介していきます。さらに、掲載しているQRコードで奇景の位置情報をスマホで読み取り、地図アプリで現地を確認することもできます。実際に行ってみたい人のために、最寄り駅などのアクセス情報も掲載しているので、東京道路奇景を十全に楽しむことができる本になっています。

 しかし、なぜ、東京にはこれほどまでに道路奇景が多いのでしょうか?

東京道路奇景は東京に「伸びしろ」がある証しでは?

 実は、東京道路奇景の多くは、道路整備の大幅な遅れを短期間に取り戻すために苦肉の策として建設されたものです。東京は戦後、道路整備が圧倒的に未熟のまま、急激に自動車保有数の増加を迎え、渋滞が深刻な問題となりました。これを緩和するため首都高をはじめとする道路の新設が急ピッチで行われた結果、空間的余裕のない中に道路を詰め込むことになり、奇景が生まれたのです。

 それでもなお、東京の道路は現在も、計画の6割しか完成していません。しかし、考えようによっては、この道路整備の遅れは、東京の「伸びしろ」でもあります。東京は道路について、あと4割も成長余地を残している、と言えるからです。

 本書は、道路奇景を紹介するだけでなく、東京は道路によってどのように変わっていくのか、また変わってきたのかを、「東京道路奇景」と「伸びしろ」という視点から考えていくものです。実現しなかった驚くべき構想、世界に先駆けて行われた試み、度重なる計画変更で現状にいたった経緯など、興味深い事実が多数、紹介されます。本書を読めば、東京の知らなかった魅力・力強さに気づくことでしょう。

著者によるPVもあります!

川辺謙一(かわべ・けんいち)

交通技術ライター。1970年三重県生まれ。東北大学工学部卒、同大学大学院工学研究科修了。メーカー勤務を経て独立し、雑誌・書籍に数多く寄稿。高度化した技術を一般向けに翻訳・紹介。著書は『図解・燃料電池自動車のメカニズム』『図解・首都高速の科学』『図解・地下鉄の科学』(講談社)、『東京総合指令室』(交通新聞社)など多数。

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