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立ち読みコーナー
楽しい気象観察図鑑
武田康男
第1章 雲
1−2 雲や霧が生まれる場所へ行ってみよう

山の霧
奥多摩の山に海からの湿った風が当たってできた霧です。山の霧は幻想的で、土や植物のにおいを運んできたり、音を吸収して静寂な世界をつくります。
(5月 東京都奥多摩町)


盆地と滝雲
盆地にたまった雲(霧)が朝になってあふれて、斜面を下りていくようすが見られました。雲は空高く上るイメージがありますが、冷たい空気とともに山を下ることもあります。
(8月 秋田県田沢湖町)


川霧
川から霧が発生し、山の方まで流れていく光景です。川に温泉水やわき水などが流れ込むところでよく霧が発生しますが、ここの川の水は冷たく、周囲の空気が冷やされて霧になったようです。
(5月 福島県只見町)

けあらし
海岸で初日の出を見ていたとき、気温がたいへん低いため、暖かい海からの水蒸気によって雲や霧が発生しました。このような現象を「けあらし」といいます。太陽が昇ると消えていきました。
(1月 千葉県九十九里海岸)
海霧
茨城県沖には水温の低い親潮が流れていて、その上の空気が冷やされるので、海上に霧が発生することがよくあります。この写真は日の出の直後ですが、霧によって朝日がかくれていました。
(11月 茨城県日立市)


1−3 「晴れ」か「曇り」か
千葉県柏市から見た
上層雲と衛星画像
赤外衛星画像に南東方向に白いすじ状の雲が写っています。観測地点からその雲までは90km程度はなれていて、地上からの写真では地平線上に長く伸びた雲がそれに対応すると思われます。上空の風によってできた上層雲が密集していると、気象衛星写真にはこのように細長く写ります。
(写真撮影 2003年12月9日6:22/衛星写真 同日6:00
赤外画像、気象庁提供)
鹿児島空港から見た
積乱雲と衛星画像
赤外衛星写真では、北東方向に丸く小さな輝く点があるのがわかります。積乱雲の上部は上空10km前後まで達していて温度が低いので、赤外衛星画像にはよく写ります。
地上の観測地点から積乱雲までの距離は30kmあまりで、写真の積乱雲が発達した姿が、その後衛星にとらえられたのだと思われます。
(写真撮影 2001年8月5日13:16/衛星写真 同日14:00
赤外画像、気象庁提供)


第4章 大気での光の変化
4−3 雲の間からの幻想的な光 光芒
日の出前の光芒
地球は丸いので、日の出前に雲の下に太陽光線が射し込むことがあります。暗い青い雲に、赤い光のすじがあざやかでした。夕日でも同様な現象が見られます。
(11月 茨城県日立市)
放射状の光芒
太陽の位置によって光芒の見え方は変わります。太陽光線は平行ですが、人間の目では光芒が放射状に広がって見えるときがあります。
(12月 沖縄県読谷村)



武田康男
1960年東京生まれ。1983年東北大学理学部地球物理学科卒業。高校教諭。気象予報士。日本気象学会会員。日本自然科学写真協会会員。著書に『空の色と光の図鑑』(共著、草思社)など。