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『銃・病原菌・鉄』関連文献リスト(Further Readings)

* 本書日本語版は原著者の了承に基づいて「関連文献」を割愛していますが、ここにその全文を翻訳し、邦訳されている文献を確認できた範囲で追加したものを掲載します。なお、ここに記載されたものには著作権がありますので、無断でその一部または全部を複製・転載することはできません。
Copyright 1997 © Jared Diamond / 2000 © Soshisha

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 以下にあげるのは、さらに広く関連する資料を参照したい読者に推薦する文献である。したがって、主要な論文・書籍だけでなく、今日までに発表された関連文献を網羅的に紹介することにした。
 書籍タイトル、雑誌名はイタリック体で記した。記事・論文については、タイトルの後に掲載誌名、号数、" : " をはさんで掲載ページ、(発行年)の順に記した。
 邦訳書については、原書表記の後に " / " をはさんで『日本語版タイトル』、訳者名、出版社名、(発行年)の順に記した。

プロローグ

 本書の大半の章に関連する文献のひとつに、L. Luca Cavalli-Sforza, Paolo Menozzi, Alberto Piazza の手になるヒトの遺伝子頻度に関する大部の概説書 The History and Geography of Human Genes (Princeton: Princeton University Press, 1994) がある。各大陸について、地理、生態、環境から先史人類史、人類史、言語、形質人類学、そこで暮らす民族の文化までが簡潔にまとめられている。そのためこの非凡な本は、あらゆる人々、あらゆる事物についての歴史書と言ってよいものになっている。また、L. Luca Cavalli-Sforza, Francisco Cavalli-Sforza, The Great Human Diasporas (Reading, Mass.: Addison-Wesley, 1995)も同様のテーマを扱っているが、これは専門家よりも一般読者向けに書かれている。
 もうひとつ便利な資料をあげると、Goeram Burenhult 編の5巻本、The Illustrated History of Humankind (San Francisco: HarperCollins, 1993-94)がある。各巻のタイトルは、「最初の人類」「石器時代の人々」「旧世界の文明」「新世界と太平洋文明」「今日の伝統部族」となっている。
 ケンブリッジ大学出版部が刊行した何種類かのシリーズ物 (Cambridge, England) からは、特定の時代ないし地域の歴史を知ることができる。そのなかに The Cambridge History of [X] というシリーズがあり、"X" の部分には、アフリカ、古代中央アジア、中国、インド、イラン、イスラム世界、日本、ラテンアメリカ、ポーランド、東南アジア、などが入る。また、The Cambridge Encyclopedia of [X] というシリーズもあり、"X" の部分には、アフリカ、中国、日本、ラテンアメリカ、カリブ諸島、ロシアと旧ソ連、オーストラリア、中東と北アフリカ、インドとパキスタンおよび近隣諸国、などが入る。そのほか、The Cambridge Ancient History, The Cambridge Medieval History, The Cambridge Modern History, The Cambridge Economic History of Europe, The Cambridge Economic History of India などがある。
 世界各国の言語について百科事典風に説明している書物としては、Barbara Grimes, Ethnologue : Languages of the World, 13th ed. (Dallas: Summer Institute of Linguistics, 1996)、Merritt Ruhlen, A Guide to the World's Languages (Stanford: Stanford University Press, 1987)、C. F. Voegelin, F. M. Voegelin, Classification and Index of the World's Languages (New York: Elsevier, 1977)がある。
 大規模な比較に基づく歴史研究では、Arnold Toynbee, A Study of History, 12 vols. (London: Oxford University Press, 1934-54)/『歴史の研究』蝋山政道他訳、社会思想研究会出版部(1956)長谷川松治訳、社会思想社(1969)他、が傑出している。ユーラシア大陸、とりわけ大陸西部の文明のすぐれた歴史書としては、William McNeill, The Rise of the West (Chicago: University of Chicago Press, 1991) があげられる。同じ著者の A World History (New York: Oxford University Press, 1979)/『世界史』増田義郎他訳、新潮社(1971)もまた、「世界史」というタイトルであるにもかかわらず、ユーラシア大陸西部の歴史に焦点を当てており、その点、V. Gordon Childe, What Happened in History, rev. ed. (Baltimore: Penguin Books, 1954)/『歴史のあけぼの』今来陸郎・武藤潔訳、岩波書店(1967)と共通している。ユーラシア大陸西部を中心とする包括的な歴史書をもう1冊あげるとすると、C. D. Darlington, The Evolution of Man and Society (New York: Simon and Schuster, 1969)がある。著者は生物学者で、大陸の歴史と飼育栽培化のあいだに、私が論じたのと同様のつながりがあると認識している。Alfred Crosby の2冊の著作、The Columbian Exchange : Biological Consequences of 1492 (Westport, Conn.: Greenwood, 1972) と Ecological Imperialism: The Biological Expansion of Europe, 900-1900 (Cambridge: Cambridge University Press, 1986) /『ヨーロッパ帝国主義の謎──エコロジーから見た10〜20世紀』佐々木昭夫訳、岩波書店(1998)は、ヨーロッパの領土拡張に関する優れた研究書であり、領土拡張に伴う動植物や病原菌の移動に力点を置いている。Marvin Harris, Cannibals and Kings : The Origins of Cultures ( New York: Vintage Books, 1978)/『ヒトはなぜヒトを食べたか──生態人類学から見た文化の起源』鈴木洋一訳、早川書房(1990)ハヤカワ文庫(1997)と、Marshall Sahlins, Elman Service, eds. Evolution and Culture (Ann Arbor: University of Michigan Press, 1960) /『進化と文化』山田隆治訳、新泉社(1976)は文化人類学の視点による歴史の比較研究である。Ellen Semple, Influence of Geographic Environment (New York: Holt, 1911) は地理的条件が人間社会に及ぼす影響に関する研究の初期の試みの一例である。そのほかの重要な歴史研究の文献は、エピローグの関連文献として掲載する。私の The Third Chimpanzee (New York, HarperCollins, 1992)/『人間はどこまでチンパンジーか?』長谷川真理子・長谷川寿一訳、新曜社(1993)、その中でもとくにユーラシア大陸と南北アメリカ大陸の歴史を比較した第14章には、本書で展開した私の考えの出発点が記されている。
 近年、集団間の知的能力の違いをめぐる論争に参入した、最も有名な、あるいは最も悪名高い著作として、Richard Herrnstein, Charles Murray, The Bell Curve : Intelligence and Class Structure in American Life (New York: Free Press, 1994)がある。

 第1章

 初期の人類の進化を扱った卓越した書物としては、Richard Klein, The Human Career (Chicago: University of Chicago Press, 1989)、Roger Lewin, Bones of Contention (New York: Simon and Schuster, 1989)、Paul Mellars, Chris Stringer ed., The Human Revolution : Behavioural and Biological Perspectives on the Origins of Modern Humans (Edinburgh: Edinburgh University Press, 1989)、Richard Leakey, Roger Lewin, Origins Reconsidered (New York: Doubleday, 1992)、D. Tab Rasmussen ed., The Origin and Evolution of Humans and Humanness (Boston: Jones and Bartlett, 1993)、Matthew Nitecki, Doris Nitecki eds., Origins of Anatomically Modern Humans (New York: Plenum, 1994)、Chris Stringer, Robin McKie, African Exodus (London: Jonathan Cape, 1996) があげられる。ネアンデルタール人に焦点を当てた著作には、人気のあるものが3点ある。Christopher Stringer, Clive Gamble, In Search of the Neanderthals (New York: Thames and Hudson, 1993)/『ネアンデルタール人とは誰か』河合信和訳、朝日新聞社(1997)、Erik Trinkaus, Pat Shipman, The Neanderthals (New York: Knopf, 1993)、Ian Tattersall, The Last Neanderthal (New York: Macmillan, 1995)/『最後のネアンデルタール』高山博訳、日経サイエンス(1999)である。
 遺伝子研究による人類の起源の探求をテーマとした文献としては、すでにプロローグのところで紹介した L. Luca Cavalli-Sforza らの編纂による2冊と、拙著 The Third Chimpanzee の第1章がある。遺伝子の研究における最近の成果を紹介した専門的な論文としては、J. L. Mountain, L. L. Cavalli-Sforza, "Inference of human evolution through cladistic analysis of nuclear DNA restriction polymorphism," Proceedings of the National Academy of Sciences 91:6515-19 (1994)と D. B. Goldstein et al., "Genetic absolute dating based on microsatellites and the origin of modern humans" Proceedings of the National Academy of Sciences 92:6723-27 (1995) がある。
 オーストラリア、ニューギニア、ビスマーク諸島、ソロモン諸島への人間の移住とそこでの大型動物の絶滅に関する資料は、第15章の関連文献としてリストアップしている。とりわけ、Tim Flannery, The Future Eaters (New York: Braziller, 1995)では、これらのテーマが明快でわかりやすい表現で論じられており、オーストラリア大陸で絶滅したとされる大型哺乳類が、実はつい最近まで生きていたという主張に関する諸問題が説明されている。
 更新世後期から現世にかけての大型動物の絶滅に関する資料として定評があるのは、Paul Martin, Richard Klein eds., Quaternary Extinctions (Tucson: University of Arizona Press, 1984) である。最新の文献としては、Richard Klein, "The impact of early people on the environment : The case of large mammal extinctions," (J. E. Jacobsen, J. Firor, Human Impact on the Environment [Boulder, Colo.: Westview Press, 1992] pp.13-34) と、Anthony Stuart, "Mammalian extinctions in the Late Pleistocene of Northern Eurasia and North America," Biological Reviews 66:453-62 (1991) がある。David Steadman は論文"Prehistoric extinctions of Pacific island birds : Biodiversity meets zooarchaeology," Science 267:1123-31 (1995)で、太平洋の島々では人類が入植するにしたがって絶滅種が波状的に増加した、という最近の成果を概説している。
 南北アメリカ大陸への人類の移住と、それに伴う大型動物の絶滅に関する一般的な見解と、そこから生じた論争を紹介しているのは、Brian Fagan, The Great Journey : The Peopling of Ancient America (New York: Thames and Hudson, 1987)/『アメリカの起源──人類の遙かな旅路』河合信和訳、どうぶつ社(1990)と、拙著 The Third Chimpanzee の第18章である。2冊とも多くの参考文献が掲載されている。Ronald Carlisle eds., Americans before Columbus : Ice-Age Origins (Pittsburgh: University of Pittsburgh, 1988) には、J. M. Adovasio らが、メドウクロフト遺跡はクローヴィス以前のものだという証明を展開している章が含まれている。クローヴィスとクローヴィス以前だと報告されている遺跡の専門家、C. Vance Haynes, Jr. の論文には "Contributions of radiocarbon dating to the geochronology of the peopling of the New World," (R. E. Taylor, A. Long, R. S. Kra, eds., Radiocarbon after Four Decades [New York : Springer, 1992] pp.354-74) と、"Clovis-Folson geochronology and climate change," (Olga Soffer, N. D. Praslov, eds., From Kostenki to Clovis : Upper Paleolithic Paleo-Indian Adaptations [New York: Plenum, 1993] pp.219-36) がある。ペドロ・フラダ遺跡がクローヴィス以前のものだという主張について論じている文献としては、N. Guidon, G. Delibrias, "Carbon-14 dates point to man in the Americas 32,000 years ago," Nature 321:769-71 (1986) や、David Meltzer et al., "On a Pleistocene human occupation at Pedra Furada, Brazil," Antiquity 68:695-714 (1994) がある。そのほか、アメリカ大陸におけるクローヴィス以前の人類の存在をめぐる論争に関連する資料には、T. D. Dillehay et al.,"Earliest hunters and gatherers of South America," Journal of World Prehistory 6:145-204 (1992)、T. D. Dillehay, Monte Verde : A Late Pleistocene Site in Chile (Washington, D.C.: Smithsonian Institution Press, 1989)、T. D. Dillehay, D. J. Melt zer, eds., The First Americans : Search and Research (Boca Raton: CRC Press, 1991)、Thomas Lynch, "Glacial-age man in South America ? --a critical review," American Antiquity 55:12-36 (1990)、John Hoffecker et al.,"The colonization of Beeringia and the peopling of the New World," Science 259:46-53 (1993)、A. C. Roosevelt et al., "Paleoindian cave dwellers in the Amazon : The peopling of the Americans," Science 272:373-84 (1996) がある。

 第2章

 ポリネシアの島々に見られる文化的相違を明確なテーマとした傑出した著作が2つある。Patrick Kirch, The Evolution of the Polynesian Chiefdoms (Cambridge: Cambridge University Press, 1984) と、同じ著者による The Wet and the Dry (Chicago: University of Chicago Press, 1994) である。Peter Bellwood, The Polynesians, rev. ed. (London: Thames and Hudson, 1987) /『ポリネシア』池野茂訳、大明堂(1985)もこの問題にかなりのページを割いている。ポリネシアの特定の島を扱った注目すべき文献として・ヘ、Michael King, Moriori (Auckland: Penguin, 1989)、チャタム諸島を焦点を当てた Patrick Kirch, Feathered Gods and Fishhooks (Honolulu: University of Hawaii Press, 1985)、ハワイに関しては Patrick Kirch, Marshall Sahlins, Anahulu (Chicago: University of Chicago Press, 1992)、 Jo Anne Van Tilburg, Easter Island (Washington, D.C.: Smithsonian Institution Press, 1994)、 Paul Bahn, John Flenley, Easter Island, Earth Island (London: Thames and Hudson, 1992)がある。

 第3章

 ピサロが皇帝アタワルパを捕虜にした事件に関する私の説明は、フランシスコ・ピサロの兄弟、Hernando PizarroとPedro Pizarro、ピサロの部下の Miguel de Estete、Cristobal de Mena、Ruiz de Arce、Francisco de Xerez の目撃談をまとめたものである。Hernando Pizarro、Miguel de Estete、Francisco de Xerez の目撃談は Clements Markham によって翻訳され、Reports on the Discovery of Peru, 1st ser., vol. 47 (New York: Hakluyt Society, 1872) に収められている。Pedro Pizarro の話は Philip Means の手で翻訳され、Relation of the Discovery and Conquest of the Kingdoms of Peru (New York: Cortes Society, 1921) に、Cristobal de Mena の話は Joseph Sinclair によって訳され、The Conquest of Peru, as Recorded by a Member of the Pizarro Expedition (New York: 1929)に収録されている。Ruiz de Arch の体験談は、Boletin de la Real Academia de Historia (Madrid) 102:327-84 (1933) に再録されている。John Hemming の見事な The Conquest of the Incas (San Diego: Harcourt Brace Jovanovich, 1970) は、皇帝が捕えられインカ帝国が征服された様子をあますところなく伝えてくれ、詳しい参考文献一覧もついている。19世紀にこの征服について記した William H. Prescott, History of the Conquest of Peru (New York: 1847) /『ペルー征服』石田外茂一・真木昌夫訳、講談社(1980)
は現在でも読みやすく、歴史書の古典となっている。また、スペイン人によるアステカ帝国の征服に関する19世紀の古典、および現代の著作をそれぞれあげると、William Prescott, History of the Conquest of Mexico (New York: 1843) と、Hugh Thomas, Conquest : Montezuma, Cortes, and the Fall of Old Mexico (New York: Simon and Schuster, 1993) がある。アステカ帝国の征服当時の目撃証言としては、コルテス自身が記したもの(Hernando Cortes, Five Letters of Cortes to the Emperor [New York: Norton, 1969]として復刻)と、コルテスの多くの部下によるもの(Patricia de Fuentes, ed., The Conquistadors [Norman: University of Oklahoma Press, 1993] に再録)がある。

 第4章〜第10章

 食料生産に関するこの7つの章の参考文献は、その多くが複数の章に関連しているので、まとめて紹介する。
 以下の5冊は、いずれも優れた資料であり、実証的な事実を豊富に示しながら、狩猟採集生活からどのようにして食料生産が発達してきたのかという問題を取り上げている。Kent Flannery, "The origins of agriculture," Annual Reviews of Anthropology 2:271-310 (1973)、Jack Harlan, Crops and Man, 2nd ed. (Madison, Wis.: American Society of Agronomy, 1992)、Richard MacNeish, The Origins of Agriculture and Settled Life (Norman: University of Oklahoma Press, 1992)、David Rindos, The Origins of Agriculture : An Evolutionary Perspective (San Diego: Academic Press, 1984)、Bruce Smith, The Emergence of Agriculture (New York: Scientific American Library, 1995) 。食料生産全般に関する、より古い卓越した文献としては、2冊の共著がある。Peter Ucko, G. W. Dimbleby, eds., The Domestication and Exploitation of Plants and Animals (Chicago: Aldine, 1969)と Charles Reed, ed., Origins of Agriculture (The Hague: Mou ton, 1977) がそれである。いまでは古典となっている Carl Sauer, Agricultural Origins and Dispersals (New York: American Geographical Society, 1952)/『農業の起源』竹内常行・斎藤晃吉訳、古今書院(1981) は、旧世界と新世界の食料生産を比較した初期の文献である。Erich Isaac, Geography of Domestication (Englewood Cliffs, N.J.: Prentice-Hall, 1970)/『栽培植物と家畜の起源』山本正三・田林明・桜井昭久訳、大明堂(1985) は、動植物の飼育栽培化が、どこで、いつ、どのように行なわれたか、という問題を扱っている。
 もっぱら植物の栽培化をテーマとしてい・驫ヨ連文献では、Daniel Zohary, Maria Hopf, Domestication of Plants in the Old World, 2nd ed. (Oxford: Oxford University Press, 1993) が傑出している。この本は、世界各地で栽培されるようになった植物の栽培化についてきわめて詳細に説明しており、ユーラシア大陸西部の重要な作物それぞれについて、栽培化とその結果としての拡散を、考古学と遺伝子学の分野の証拠をあげながら概説している。
 植物の栽培化に関する重要なものとしては、C. Wesley Cowan, Patty Jo Watson, eds., The Origins of Agriculture (Washington D.C.: Smithsonian Institution Press, 1992)、David Harris, Gordon Hillman,eds., Foraging and Farming : The Evolution of Plant Exploitation (London: Unwin Hyman, 1989)、C. Barigozzi ed., The Origin and Domestication of Cultivated Plants (Amsterdam: Elsevier, 1986) がある。Charles Heiser, Jr. は植物の栽培化について評価の高い本を2冊著している。Seed to Civilization : The Story of Food , 3rd ed. (Cambridge: Harvard University Press, 1990)/『食物文明論──食料は文明の礎え』岸本妙子・岸本裕一訳、三嶺書房(1989)とOf Plants and People (Norman: University of Oklahoma Press, 1985) である。J. Smartt, N. W. Simmonds, eds., Evolution of Crop Plants, 2nd ed. (London: Longman, 1995) は、世界各国のあらゆる主要作物と多くの副次的な作物に関する情報を簡潔に紹介した、定評ある著作である。栽培化により野生植物におのずと生じた変化について論じた優れた論文としては、Mark Blumler, Roger Byrne, "The ecological genetics of domestication and the origins of agriculture," Current Anthropology 32:23-54 (1991)、Charles Heiser, Jr.,"Aspects of unconscious selection and evolution of domesticated plants," Euphytica 37 77-81 (1988)、および Daniel Zohary,"Modes of evolution in plants under domestication," (W. F. Grant,ed., Plant Biosystematics [Montreal: Academic Press, 1984]) 所収の3つがあげられる。Mark Blumler,"Independent inventionism and recent genetic evidence on plant domestication," Economic Botany 46:98-111 (1992) では、栽培品種が単一の起源から広まっていったという説と対照的な、ひとつの野生種が多様に栽培化されていったという説が評価されている。
 動物の家畜化に関する全般的な著作としては、世界の野生哺乳類を対象とした百科事典的な書物とオて定評のある、Ronald Nowak, ed., Walker's Mammals of the World, 5th ed. (Baltimore: Johns Hopkins University Press, 1991) がある。Juliet Clutton-Brock, Domesticated Animals from Early Times (London: British Museum [Natural History], 1981) は、家畜化されたあらゆる重要な哺乳類について、秀逸な概論を展開している。I. L. Mason, ed., Evolution of Domesticated Animals (London: Longman, 1984) では、複数の著者が家畜化された重要な動物を一種ずつ取り上げ、論じている。Simon Davis, The Archaeology of Animals (New Haven: Yale University Press, 1987) は、遺跡で発掘されたほ乳類の骨から何を知ることができるかを、見事に解き明かしている。Juliet Clutton-Brock, ed., The Walking Larder (London: Unwin-Hyman, 1989)は、世界各地で人類がどのように狩りをし、動物を家畜化し、飼育してきたか、また、どのように動物に捕食されてきたか、に関する31の論文を掲載している。家畜化された動物に関するドイツの包括的な本としては、Wolf Herre, Manfred Rohrs, Haustiere zoologisch gesehen (Stuttgart: Fischer, 1990) がある。Stephen Budiansky, The Covenant of the Wild (New York: William Morrow, 1992) は、人間と動物のかかわりのなかで、動物が自然に家畜化されてきた様子をわかりやすく説明している。家畜化された動物がいかにして耕作や輸送の手段、羊毛や乳の供給源として利用されるようになったかを記述した重要な論文に、Andrew Sherattの "Plough and pastoralism : Aspects of the secondary products revolution," (Ian Hodder et al., eds., Pattern of the Past [Cambridge: Cambridge University Press, 1981] pp.261-305) がある。
 世界の特定地域での食料生産に関する記述としては、古代ローマの耕作を見事なまでに詳細に記した小事典、プリニウスの Natural History 第17巻〜19巻 (ラテン語のテキストと英訳を併記したものが The Loeb Classical Library [Cambridge: Harvard University Press, 1961] に収録されている) である。肥沃三日月地帯からヨーロッパを横断して西方に食料生産が広まった歴史を分析したのが、Albert Ammerman, L. L. Cavalli-Sforza, The Neolithic Transition and the Genetics of Populations in Europe (Princeton: Princeton University Press, 1984) である。ヨーロッパに焦点を当てたのが、Graeme Barker, Prehistoric Farming in Europe (Cambridge: Cambridge University Press, 1985) と Alasdair Whittle, Neolithic Europe : A Survey (Cambridge: Cambridge University Press, 1985) 。地中海東岸に隣接する島々に的をしぼったのが、Donald Henry, From Foraging to Agriculture : The Levant at the End of the Ice Age (Philadelphia: University of Pennsylvania Press, 1989) 。ニューギニアを対象としたものが、D. E. Yen, "Domestication : Lessons from New Guinea," (Andrew Pawley, ed., Man and a Half [Auckland: Polynesian Society, 1991] pp.558-69)である。Edward Schafer, The Golden Peaches of Samarkand (Berkeley: University of California Press, 1963) は、唐王朝の時代に中国に輸入された動植物などについて書いている。
 次にあげるのは、世界の特定地域における植物の栽培種化と農作物について書かれている文献である。ヨーロッパと肥沃三日月地帯に関するものとしては、William van Zeist et al., ed., Progress in Old World Palaeoethnobotany (Rotterdam: Balkema, 1991) と Jane Renfrew, Paleoethnobotany (London: Methuen, 1973) がある。インダス川流域のハラッパ文化およびインド亜大陸全般に関しては、Steven Weber, Plants and Harappan Subsistence (New Delhi: American Institute of Indian Studies, 1991) がある。新世界の作物については、Charles Heiser, Jr.,"New perspectives on the origin and evolution of New World domesticated plants : Summary," Economic Botany 44:(3 suppl.) 111-16 (1990)と、同じ著者の "Origins of some cultivated New World Plants," Annual Reviews of Ecology and Systematics 10:309-26 (1979) がある。中央アメリカにおける狩猟採取から初期の農耕への移行を実証的に示す可能性のあるメキシコの遺跡に関しては、Kent Flanner y, ed., Guila Naquitz (New York: Academic Press, 1986) がある。インカ時代のアンデス山脈で栽培されていた作物と、それが今日どのように使用されているかについては、National Research Council, Lost Crops of the Incas (Washington, D.C.: National Academy Press, 1989) がある。合衆国東部と南西部での植物の栽培化については、Bruce Smith,"Origins of agriculture in eastern North America," Science 246:1566-71 (1989)、William Keegan, ed., Emergent Horticultural Economies of the Eastern Woodlands (Carbondale: Southern Illinois University, 1987)、Richard Ford ed., Prehistoric Food Production in North America (Ann Arbor: University of Michigan Museum of Anthropology, 1985)、R. G. Matson, The Origins of Southwestern Agriculture (Tucson: University of Arizona Press, 1991) があげられる。Bruce Smith, "The origins of agriculture in Americas," Evolutionary Anthropology 3:174-84 (1995) では、ごく少量の植物のサンプルを加速器質量分析法によって年代測定した結果に基づき、南北アメリカ大陸の農耕の起源はこれまで考えられていたよりずっと新しい、と従来の説を修正する見解が表明されている。
 世界の特定の地域における動物の家畜化と家畜動物に関する文献を次に示す。中欧および東欧については、S. Boekoenyi, History of Domestic Mammals in Central and Eastern Europe (Budapest: Akademiai Kiado, 1974) がある。アフリカについては、Andrew Smith, Pastoralism in Africa (London: Hurst, 1992) がある。アンデス山脈については、Elizabeth Wing, "Domestication of Andean mammals," (F. Vuilleumier, M. Monasterio, eds., High Altitude Tropical Biogeography [Oxford: Oxford University Press, 1986] pp.246-64) がある。
 特定の重要な農作物に関する参考文献は次のとおり。Thomas Sodestrom et al., eds., Grass Systematics and Evolution (Washington D.C.: Smithsonian Institution Press, 1987) は、今日世界で最も重要な作物である穀物のもとになったイネ科植物についての共著であり、包括的な説明がなされている。Hugh Iltis,"From teosinte to maize :The catastrophic sexual transmutation," Science 222:886-94 (1983) は、トウモロコシの野生祖先種テ・Iシントの生殖機能の劇的な変化と、それに伴う進化について報告している。Yan Wenming,"China's earliest rice agricultural remains," Indo-Pacific Prehistory Association Bulletin 10:118-26 (1991)は、中国南部における稲の初期の栽培化について論じている。Charles Heiser, Jr. の2冊の著書、The Sunflower (Norman: University of Oklahoma Press, 1976)と The Gourd Book (Norman: University of Oklahoma Press, 1979) は、特定の農作物に関して一般に受け入れられている説を展開している。
 家畜化された特定の動物種を扱った論文や書籍は多数存在する。R. T. Loftus et al., "Evidence for two independent domestications of cattle," Proceedings of the National Academy of Sciences U.S.A. 91:2757-61 (1994) は、ミトコンドリアDNAから得られた証拠を使って、畜牛はユーラシア大陸とインド亜大陸で別々に家畜化されたことを示している。馬に関しては、Juliet Clutton-Brock, Horse Power (Cambridge: Harvard University Press, 1992)/『図説・馬と人の文化史』桜井清彦監訳、清水雄次郎訳、東洋書林(1997)、Richard Meadow, Hans-Peter Uerpmann, eds., Equids in the Ancient World (Wiesbaden: Reichert, 1986)、Matthew J. Kust, Man and Horse in History (Alexandria, Va.: Plutarch Press, 1983)、Robin Law, The Horse in West African History (Oxford: Oxford University Press, 1980) があげられる。豚に関する文献としては、Colin Groves, Ancestors for the Pigs : Taxonomy and Phylogeny of the Genus Sus (Technical Bull etin no. 3, Department of Prehistory, Research School of Pacific Studies, Australian National University [1981]) がある。ラマについては、Kent Flannery, Joyce Marcus, Robert Reynolds, The Flocks of the Wamani (San Diego: Academic Press, 1989)がある。犬については、Stanley Olsen, Origins of the Domestic Dog (Tucson: University of Arizona Press, 1985) がある。 また、John Varner, Jeannette Varner, Dogs of the Conquest (Norman: University of Oklahoma Press, 1983) は、スペイン人が南北アメリカ大陸を征服したとき、インディアンを殺す武器として犬を利用したと書いている。Clive Spinnage, The Natural History of Antelopes (New York: Facts on File, 1986) には、レイヨウの生態が記されており、したがって、どう見ても家畜化の候補と思われるこの動物が、なぜ実際には家畜化されなかチたのかを理解する上で出発点となる文献である。Derek Goodwin, Domestic Birds (London: Museum Press, 1965) は家畜化された鳥の種を概説している。R. A. Do nkin, The Muscovy Duck, Cairina moschata domestica (Rotterdam: Balkema, 1989) は、新世界で家畜化されたただ2種の鳥のうちの一方について論じている。
 最後に、放射性炭素による年代測定の複雑さについて論じている文献をいくつかあげておこう。G. W. Pearson, "How to cope with calibration," Antiquity 61:98-103 (1987)、R. E. Taylor, ed., Radiocarbon after Four Decades : An Interdisciplinary Perspective (New York: Springer, 1992)、M. Stuiver et al,. "Calibration," Radiocarbon 35:1-244 (1993)、S. Bowman,"Using radiocarbon : An update," Antiquity 68:838-43 (1994)、R. E. Taylor, M. Stuiver, C. Vance Haynes, Jr.,"Calibration of the Late Pleistocene radiocarbon time scale : Clovis and Folsom age estimates," Antiquity 70 (1996)である。

 第11章

 病気が人口に及ぼす影響を興味深く書き表している書物としては、トゥキュディデスのPeloponnesian War(『ペロポンネソス戦争』さまざまな翻訳書が出ている)の book 2 に記された、アテネを襲った疫病の話の右に出るものはない。
 人類史上の病気について記述した古典的な文献を3冊あげると、Hans Zinsser, Rats, Lice, and History (Boston: Little, Brown, 1935)/『ねずみ・しらみ・文明──伝染病の歴史的伝記』橋本雅一訳、みすず書房(1966)、Geddes Smith, A Plague on Us (New York: Commonwealth Fund, 1941)、それに William McNeill, Plagues and Peoples (Garden City, N. Y.: Doubleday, 1976)/『疫病と世界史』佐々木昭夫訳、新潮社(1985)ということになる。McNeill は医者というより傑出した歴史家であり、この本は病気が歴史に与える影響を歴史家に認識させるうえで特に大きな影響力をもった。この点では、本書のプロローグの関連文献としてあげた Alfred Crosby の2冊の著書と同様である。
  Friedrich Vogel, Arno Motulsky, Human Genetics, 2nd ed. (Berlin: Springer, 1986) /『人類遺伝学』安田徳一訳、朝倉書店(1988)は、ヒトの遺伝学の教本として定評があり、病気による自然淘汰と、特定の病気に対する遺伝子レベルでの抵抗力の発達に関する参考文献として使うと便利である。Roy Anderson, Robert May, Infectious Diseases of Humans (Oxford: Oxford University Press, 1992) は病気が伝染し流行るパターンを数量的に明快に扱っている。MacFarlane Burnet, Natural History of Infectious Disease (Cambridge: Cambridge University Press, 1953) /『伝染病の生態学』新井浩訳、紀伊国屋書店(1966)は優秀な医療研究者が書いた古典である。一方、Arno Karlen, Man and Microbes (New York: Putnam, 1995) /『病原微生物の氾濫』長野敬・赤松真紀訳、青土社(1996)は近年の人気のある見解を提示している。
 人間の感染症の進化に焦点を当てた論文および書籍としては、Aidan Cockburn, Infectious Diseases: Their Evolution and Eradication (Springfield, Ill.: Thomas, 1967)、同じ著者の "Where did our infectious diseases come from?" (Health and Disease in Tribal Societies, CIBA Foundations Symposium, no.49 [Amsterdam: Elsevier, 1977] pp.103-13)、George Williams, Randolph Nesse,"The dawn of Darwinian Medicine," Quarterly Reviews of Biology 66:1-62 (1991)、Paul Ewald, Evolution of Infectious Disease (New York: Oxford University Press, 1994)がある。
 Francis Black,"Infectious diseases in primitive societies," Science 187:515-18 (1975) は、風土病や急性の病気がそれぞれ、周囲から隔絶された小さな社会にどんな影響を及ぼし、そこでどのように潜伏するかを比較している。Frank Fenner,"Myxoma virus and Oryctolagus cuniculus: Two colonizing species," (H. G. Baker, G.L. Stebbins, eds., Genetics of Colonizing Species [New York: Academic Press, 1965] pp. 485-501) は、オーストラリアのウサギのあいだで流行したミクソーマウイルスの進化について述べている。Peter Panum, Observations Made during the Epidemic of Measles on the Faroe Islands in the Year 1846 (New York: American Public Health Association, 1940) には、周囲から孤立した島を急性の伝染病が襲い、それまで免疫のなかった全住民が短期間のうちに死んだり、免疫を持つようになった経緯が描かれている。Frank Black,"Measles endemicity in insular populations: Critical community size and its evolutionary implication," Journal o f Theoretical Biology 11:207-11 (1966) も麻疹を取り上げて、麻疹のウイルス潜伏しつづけるためには最低限どれだけの人口が必要かを算出している。Andrew Dobson,"The population biology of parasite-induced changes in host behavior," Quarterly Reviews of Biology 63:139-65 (1988) には、寄生虫がどのようにして宿主の行動を変化させることによりみずからの伝染力を高めるかが書かれている。Aidan Cockburn ,Eve Cockburn, eds., Mummies, Diseases, and Ancient Cultures (Cambridge: Cambridge University Press, 1983) は、ミイラから過去の病気の影響について何を知ることができるかについて論じている。
 病気が、それまでその病気にさらされたことのなかった人々に対して及ぼす影響に関する文献としては、次のようなものがある。Henry Dobyns, Their Number Became Thinned (Knoxville: University of Tennessee Press, 1983) は、ヨーロッパ人がもたらした病気のためにアメリカ先住民の95パーセントが死亡したという見解を支持する複数の証拠を示している。議論の余地のあるこのテーマを論じている論文や書籍を以下にあげると、John Verano, Douglas Ubelaker, eds., Disease and Demography in the Americas (Washington D.C.: Smithsonian Institution Press, 1992)、 Ann Ramenofsky, Vectors of Death (Albuquerque: University of New Mexico Press, 1987)、 Russell Thornton, American Indian Holocaust and Survival (Norman: University of Oklahoma Press, 1987)、Dean Snow,"Microchronology and demographic evidence relating to the size of the pre-Columbian North American Indian population," Science 268:1601-4 (1995) がある。David Stannard, Befor e the Horror: The Population of Hawaii on the Eve of Western Contact (Honolulu: University of Hawaii Press, 1989)と O. A. Bushnell, The Gifts of Civilization: Germs and Genocide in Hawaii (Honolulu: University of Hawaii Press, 1993) の2冊は、ヨーロッパ人が持ち込んだ病気によってハワイのポリネシア人の人口が激減した事実をテーマとしている。1902〜3年にかけての冬に、サドリルミウト・エスキモーが赤痢のため絶滅寸前にまで追い込まれた史実は、Susan Rowley,"The Sadlermiut: Mysterious or misunderstood?" (David Morrison, Jean-Luc Pilon, eds., Threads of Arctic Prehistory [Hull: Canadian Museum of Civilization, 1994] pp. 361-84) に記述されている。逆の現象、つまり、ヨーロッパ人が海外で出くわした病気のために死亡した例については、Philip Curtin, Death by Migration: Europe's Encounter with the Tropical World in the 19th Century (Cambridge: Cambridge University Press, 1989) に記されている。
 特定の病気に関する文献のひとつ、Stephen Morse, ed., Emerging Viruses (New York: Oxford University Press, 1993)/『突発出現ウイルス──続々と出現している新たなウ病原ウイルスの発生メカニズムと防疫対策を探る』佐藤雅彦訳、海鳴社(1999) には、「新しい」ウイルス性の病気についての貴重な論文が多数収められている。Mary Wilson et al., eds., Disease in Evolution, Annals of the New York Academy of Sciences, vol.740 (New York: 1995)も同様である。そのほかの病気についての参考文献は、以下のとおりである。腺ペストについては、Colin McEvedy,"Bubonic plague," Scientific American 258(2):118-23 (1988)。コレラに関する文献としては、Norman Longmate, King Cholera (London: Hamish Hamilton, 1966) 。インフルエンザについては、Edwin Kilbourne, Influenza (New York: Plenum, 1987)とRobert Webster et al.,"Evolution and ecology of influenza A viruses," Microbiological Reviews 56:152-79 (1992) 。ライム病に関しては、Alan Barbour, Durland Fish,"The biological and social phenomenon of Lyme disease," Science 260:1610-16 (1993) と Allan Steere,"Lyme disease: A growing threat to urban populations," Proceedings of the National Academy of Sciences 91:2378-83 (1994)があげられる。
 マラリアなどの寄生虫が宿主に適応できるよう進化してゆく問題に関しては、Thomas McCutchan et al.,"Evolutionary relatedness of Plasmodium species as determined by the structure of DNA," Science 225:808-11 (1984) と A. P. Waters et al., "Plasmodium falciparum appears to have arisen as a result of lateral transfer between avian and human hosts," Proceedings of the National Academy of Sciences 88:3140-44 (1991) がある。麻疹ウイルスの進化については、E. Norrby et al.,"Is rinderpest virus the archevirus of the Morbillivirus genus?" Intervirology 23:228-32 (1985) と、Keith Murray et al.,"A morbillivirus that caused fatal disease in horses and humans," Science 268:94-97 (1995) で論じられている。百日咳に関する文献としては、R. Gross et al.,"Genetics of pertussis toxin," Molecular Microbiology 3:119-24 (1989) がある。天然痘を扱ったものとしては、Donald Hopkins, Prince s and Peasants: Smallpox in History (Chicago: University of Chicago Press, 1983)、F. Vogel, M. R. Chakravartti,"ABO blood groups and smallpox in a rural population of West Bengal and Bihar (India)," Human Genetics 3:166-80 (1966)、そして拙稿 "A pox upon our genes" Natural History 99(2):26-30 (1990) がある。天然痘とつながりのある サル痘に関する文献としては、Zdenek Jezek, Frank Fenner, Human Monkeypox (Basel: Karger, 1988) がある。梅毒については、Claude Quetel, History of Syphilis (Baltimore: Johns Hopkins University Press, 1990) に記されている。結核に関する著作としては、Guy Youmans, Tuberculosis (Philadelphia: Saunders, 1979) がある。人間に感染する結核がコロンブスの到来以前からアメリカ先住民のあいだに存在したという見解については、これを支持する論文として、Wilmar Salo et al.,"Identification of Mycobacterium tuberculosis DNA in pre-Columbian Peruvian mummy," Proceedi ngs of the National Academy of Sciences 91:2091-94 1994) がある。その見解を否定する論文には、William Stead et al.,"When did Mycobacterium tuberculosis infection first occur in the New World?" American Journal of Respiratory Critical Care Medicine 151:1267-68 (1995)がある。

 第12章

 文字および特定の文字システムに関する概説書としては、David Diringer, Writing (London: Thames and Hudson, 1982), I. J. Gelb, A Study of Writing, 2nd ed. (Chicago: University of Chicago Press, 1963), Geoffrey Sampson, Writing Systems (Stanford: Stanford University Press, 1985), John DeFrancis, Visible Speech (Honolulu: University of Hawaii Press, 1989), Wayne Senner, ed., The Origins of Writing (Lincoln: University of Nebraska Press, 1991), J. T. Hooker, ed., Reading the Past (London: British Museum Press, 1990) がある。重要な文字システムについて、テキストの記載された粘土版などを包括的に説明している文献には、David Diringer, The Alphabet, 3rd ed., 2vols. (London: Hutchinson, 1968) がある。Jack Goody, The Domestication of the Savage Mind (Cambridge; Cambridge University Press, 1977) /『未開と文明』吉田禎吾訳、岩波書店(1986)と、Robert Logan, The Alphabet Effect (New York: Morrow, 1986 ) は、文字全般、とりわけアルファベットが及ぼした影響について論じている。Nicholas Postgate et al., "The evidence for early writing: Utilitarian or ceremonial?" Antiquity 69 : 459-80 (1995) は、初期の文字の使用について書いている。
 かつては解読不能であった文字に関するわくわくするような話が書かれている文献は、Maurice Pope, The Story of Decipherment (London: Thames and Hudson, 1975)/『古代文字解読の物語』唐須教光訳、新潮社(1982)、Michael Coe, Breaking the Maya Code (New York: Thames and Hudson, 1992)、 John Chadwick, The Decipherment of Linear B (Cambridge: Cambridge University Press, 1992)/『線文字Bの解読』大城功訳、みすず書房(1997)、Yves Duhoux, Thomas Palaima, John Bennet, eds., Problems in Decipherment (Louvain-la-Neuve: Peeters, 1989),、John Justeson, Terrence Kaufman,"A decipherment of epi-Olmec Hieroglyphic writing," Science 259:1703-11(1993)がある。
 Denise Schmandt-Besserat は2巻本 Before Writing (Austin: University of Texas Press, 1992) で、ほぼ5000年のあいだに粘土版に刻まれた文字を研究し、シュメール文字の起源と発達過程を再現し、論議をまきおこす自説を展開している。Hans Nissen et al., eds., Archaic Bookkeeping (Chicago: University of Chicago Press, 1994) では、最も初期段階のくさび形文字の刻まれたメソポタミアの銘板について書かれている。Joseph Naveh, Early History of the Alphabet (Leiden: Brill, 1982)/『初期アルファベットの歴史』津村俊夫・竹内茂夫・稲垣緋紗子訳、法政大学出版局(2000) は、地中海東岸地域でアルファベットが出現した事実を明らかにしている。注目に値するウガリト・アルファベットをテーマとしている文献には、Gernot Windfuhr," The cuneiform signs of Ugarit," Journal of Near Eastern Studies 29:48-51 (1970) がある。Joyce Marcus, Mesoamerican Writing Systems: Propaganda, Myth, and History in Four Ancient Civilizations (Princet on: Princeton University Press, 1992) と、Elizabeth Boone, Walter Mignolo, Writing without Words (Durham: Duke University Press, 1994) は、中央アメリカでの文字システムの使用と発展について書いている。William Boltz, The Origin and Early Development of the Chinese Writing System (New Haven: American Oriental Society, 1994) と、同じ著者の"Early Chinese writing," World Archaeology 17:420-36 (1986) は、中国について同様のテーマを展開している。最後に、Janet Klausner, Sequoyah's Gift (New York: HarperCollins, 1993) は、セコイヤが考え出したチェロキー語の音節文字について、子どもにも読め、大人にとっても興味深い話を紹介している。

 第13章

 技術史を詳細に記したものとして定評のある文献は、全8巻からなる Charles Singer et al., A History of Technology (Oxford: Clarendon Press, 1954-84) /『技術の歴史』平田寛他訳、全14冊、筑摩書房(1978-1981)である。技術史に関する単行本では、Donald Cardwell, The Fontana History of Technology (London: Fontana Press, 1994)、Arnold Pacey, Technology in World Civilization (Cambridge: MIT Press, 1990)、Trevor Williams, The History of Invention (New York: Facts on File, 1987) があげられる。R. A. Buchanan, The Power of the Machine (London: Penguin Books, 1994) は1700年以降の技術史を簡潔に述べている。Joel Mokyr, The Lever of Riches (New York: Oxford University Press, 1990) は、時代と場所によって技術の発達のスピードが異なる理由を論じている。George Basalla, The Evolution of Technology (Cambridge: Cambridge University Press, 1988) は、技術の変化を進化論的に説明している。Everett Rodgers, Diffusion of Innovations, 3rd ed. (New York: Free Press, 1983) /『イノベーション普及学』青池慎一・宇野善康訳、産能大学出版部(1990)は、QWERTY配列のキーボードなどの技術革新の伝播に関する研究を概説している。David Holloway, Stalin and the Bomb (New Haven: Yale University Press, 1994) /『スターリンと原爆』川上洸・松本幸重訳、大月書店(1997)は、ソ連の原爆の開発に際して、青写真の模倣、(スパイによる)アイデアの伝播、独自の発明といった要因がそれぞれどの程度寄与したかを詳述している。
 世界各地の技術史に関する卓越した文献として、Joseph Needham, Science and Civilization in China (Cambridge: Cambridge University Press) /『中国の科学と文明』第1〜11巻、砺波護他訳、思索社(1991)があり、1954年以来、全16卷のうちの第5巻までが出版されたが、さらに10卷ほどが今後刊行される予定である。Ahmad al-Hassan, Donald Hill, Islamic Technology (Cambridge: Cambridge University Press, 1992) /『イスラム技術の歴史』多田博一・原隆一・斎藤美津子訳、大東文化大学国際関係学部現代アジア研究所監修、平凡社(1999)と、K. D. White, Greek and Roman Technology (London: Thames and Hudson, 1984) は、タイトルに示された地域の技術史を概説している。
 ある程度孤立した社会で、ほかの社会に対抗するうえで役立つ可能性のある技術を、一度受容しながら、のちにそれを捨てた顕著な例をふたつあげると、ひとつは日本が1543年に銃火器を受容して、その後放棄した例、もうひとつは中国が1433年以降に大型の外洋船を使わなくなった例である。日本については Noel Perrin, Giving Up the Gun (Boston: Hall, 1979)/『鉄砲を捨てた日本人──日本史に学ぶ軍縮』川勝平太訳、中央公論社(1991)、中国については Louise Levathes, When China Ruled the Seas (New York: Simon and Schuster, 1994) /『中国が海を支配したとき──鄭和とその時代』君野隆久訳、新書館(1996)に記されている。"The disappearance of useful arts," (W. H. B. Rivers, Psychology and Ethnology [New York: Harcourt, Brace, 1926] pp. 190-210)という小論は、太平洋の島々における同様の事例を紹介している。
 科学技術史に関する論文は、1959年以来 The Society for the History of Technology によって刊行されている季刊誌 Technology and Culture で見つけることができる。John Staudenmaier, Technology's Storytellers (Cambridge: MIT Press, 1985) は、同誌に最初の20年間に掲載された論文を分析している。
 科学技術史に関心を寄せる人々に研究資料を提供する分野としては、電力、織物、冶金などがある。Thomas Hughes, Networks of Power (Baltimore: Johns Hopkins University Press, 1983) /『電力の歴史』市場泰男訳、平凡社(1996)は、1880年から1930年にかけての欧米社会の電化における社会的、経済的、政治的、技術的要因を論じている。Dava Sobel, Longitude (New York: Walker, 1995) /『経度への挑戦──一秒にかけた四百年』藤井留美訳、翔泳社(1997)は、海上で経度を知るという問題を解決したジョン・ハリスンのクロノメーターの発達について書いている。E. J. W. Barber, Prehistoric Textiles (Princeton: Princeton University Press, 1991) は、ユーラシア大陸における布の歴史を、布が使用されるようになった9000年以上前を出発点として展開している。広範な地域、さらには世界における冶金の歴史を扱った文献としては、Robert Maddin, The Beginning of the Use of Metals and Alloys (Cambridge: MIT Press, 1988)、Theodore Wertime, James Muhly, eds., The Coming of the Age of Iron (New Haven: Yale University Press, 1980)、 R. D. Penhallurick, Tin in Antiquity (London: Institute of Metals, 1986)、James Muhly,"Copper and Tin," Transactions of the Connecticut Academy of Arts and Sciences 43:155-535 (1973)、Alan Franklin, Jacqueline Olin, Theodore Wertime, The Search for Ancient Tin (Washington, D.C.:Smithsonian Institution Press, 1978) などがある。特定の地域における冶金の歴史に関しては、R. F. Tylecote, The Early History of Metallurgy in Europe (London: Longman, 1987)、Donald Wagner, Iron and Steel in Ancient China (Leiden: Brill, 1993)などがある。

 第14章

 人間社会を、小規模血縁集団、部族社会、首長社会、国家の4つに分類したのは、Elman Service の2冊の著書、Primitive Social Organization (New York: Random House, 1962) /『未開の社会組織──進化論的考察』松園万亀雄訳、弘文堂(1979)と Origins of the State and Civilization (New York: Norton, 1975) に負うところが大きい。用語は異なるが、同様の社会分類は Morton Fried, The Evolution of Political Society (New York: Random House, 1967) にも見られる。国家および社会の発達を概観する重要な論文を3本あげると、Kent Flannery,"The cultural evolution of civilizations," Annual Review of Ecology and Systematics 3:399-426 (1972)、同じ著者による"Prehistoric social evolution," (Carol and Melvin Ember, eds., Research Frontiers in Anthropology [Englewood Cliffs: Prentice-Hall, 1995] pp.1-26 )、およびHenry Wright,"Recent research on the origin of the state," Annual Review of Anthropology 6:379-97 (1977) となる。Robert Carneiro,"A theory of the origin of the state," Science 169:733-38 (1970) は、土地の生態系が限定されているという条件下で戦争が起こり、国家が興ると論じている。Karl Wittfogel, Oriental Despotism (New Haven: Yale University Press, 1957) /『オリエンタル・デスポティズム──先制官僚国家の生成と崩壊』湯浅赳男訳、新評論(1995)は、大規模灌漑施設による治水管理の必要から国家が発生したと説いている。William Sanders, Henry Wright, Robert Adams, On the Evolution of Complex Societies (Malibu: Undena, 1984) に収められている3つの論文は、国家の起源に関してそれぞれ異なる見解を示している。Robert Adams, The Evolution of Urban Society (Chicago: Aldine, 1966) は、メソポタミアと中央アメリカの国家の起源を対比している。
 世界の特定地域での社会の発展に関する文献のうち、メソポタミアに焦点を当てたものとしては、Robert Adams, Heartland of Cities (Chicago: University of Chicago Press, 1981)、J. N. Postgate, Early Mesopotamia (London: Routledge, 1992) などがある。中央アメリカについては、Richard Blanton et al., Ancient Mesoamerica (Cambridge: Cambridge University Press, 1981)、Joyce Marcus, Kent Flannery, Zapotec Civilization (London: Thames and Hudson, 1996) があげられる。アンデス地域に関しては、Richard Burger, Chavin and the Origins of Andean Civilization (New York: Thames and Hudson, 1992)、Jonathan Haas et al., eds., The Origins and Development of the Andean State (Cambridge: Cambridge University Press, 1987)がある。アメリカ大陸の首長社会については、Robert Drennan, Carlos Uribe, eds., Chiefdoms in the Americas (Lanham, Md.: University Press of America, 1987) がある。ポリネシアの社会に関しては、第2章であげたものを参照してほしい。ズールー人の国家については、Donald Morris, The Washing of the Spears (London: Jonathan Cape, 1966) がある。

 第15章

 オーストラリアとニューギニアの先史時代を扱っている書物としては、Alan Thorne, Robert Raymond, Man on the Rim: The Peopling of the Pacific (North Ryde: Angus and Robertson, 1989)、J. Peter White, James O'Connell, A Prehistory of Australia, New Guinea, and Sahul (Sydney: Academic Press, 1982)、Jim Allen et al., eds., Sunda and Sahul (London: Academic Press, 1977)、M. A. Smith et al., eds., Sahul in Review (Canberra: Australian National University, 1993)、およびTim Flannery, The Future Eaters (New York: Braziller, 1995) がある。このうち1冊目と3冊目は、東南アジア島嶼部の先史時代についても書かれている。オーストラリアの歴史に関する最近の文献としては、Josephine Flood, Archaeology of the Dreamtime, rev. ed. (Sydney: Collins, 1989) がある。さらに、オーストラリアの先史時代に関する主要な論文をあげると、Rhys Jones,"The fifth continent: Problems concerning the human colonization of Australia," Annual Reviews of Anthropology 8:445-66 (1979)、Richard Roberts et al.,"Thermoluminescence dating of a 50,000-year-old human occupation site in northern Australia," Nature 345:153-56 (1990)、およびJim Allen, Simon Holdaway,"The contamination of Pleistocene radiocarbon determinations in Australia," Antiquity 69:101-12 (1995) がある。Robert Attenborough, Michael Alpers, eds., Human Biology in Papua New Guinea (Oxford: Clarendon Press, 1992) は、ニューギニアの言語、 生物の遺伝的特徴、古代史の概説書である。
 北メラニシア(ビスマーク諸島、ソロモン諸島、ニューギニア北東部および東部)の先史時代に関する論述は、上記の Thorne、Raymond、Flannery、Allenらの著書に見られる。北メラニシアに人類が居住するようになった年代は通説より逆上るとする論文には、Stephen Wickler, Matthew Spriggs,"Pleistocene human occupation of the Solomon Islands, Melanesia," Antiquity 62:703-6 (1988)、Jim Allen et al.,"Pleistocene dates for the human occupation of New Ireland, Northern Melanesia," Nature 331:707-9(1988)、Jim Allen et al.,"Human Pleistocene adaptations in the tropical island Pacific: Recent evidence from New Ireland, a Greater Australian outlier," Antiquity 63:548-61 (1989)、Christina Pavlides, Chris Gosden," 35,000-year-old sites in the rainforests of West New Britain, Papua New Guinea," Antiquity 68:604-10 (1994)などがある。オーストロネシア人のニューギニア沿岸への拡散に関する文献は、第17章の関連文献として掲げる。
 ヨーロッパ人入植後のオーストラリア大陸の歴史については、Robert Hughes, The Fatal Shore (New York: Knopf, 1987) と Michael Cannon, The Exploration of Australia (Sydney: Reader's Digest, 1987) の2冊をあげておこう。オーストラリアのアボリジニをテーマとしている文献には、Richard Broom, Aboriginal Australians (Sydney: Allen and Unwin, 1982) と Henry Reynolds, Frontier (Sydney: Allen and Unwin, 1987) がある。最初に記録に登場するの時代から1902年までの、信じがたいほど詳細なニューギニア史として、Arthur Wickmann 著の3巻本、Entdeckungs-geschichte von Neu-Guinea (Leiden: Brill, 1909-12) があげられる。これらの書物より短く読みやすいものとしては、Gavin Souter, New Guinea : The Last Unknown (Sydney: Angus and Robertson, 1964) がある。Bob Connolly, Robin Anderson, First Contact (New York: Viking, 1987)はヨーロッパ人とニューギニア高地人が初めて遭遇したときのことを感動的に描いている。
 ニューギニアのパプア語(非オーストロネシア語)に関する詳説は、Stephen Wurm, Papuan Languages of Oceania (Tubingen: Gunter Narr, 1982) と William Foley, The Papuan Languages of New Guinea (Cambridge: Cambridge University Press, 1986) が参考になる。オーストラリアの言語については、Stephen Wurm, Languages of Australia and Tasmania (The Hague: Mouton, 1972)と R. M. W. Dixon, The Languages of Australia (Cambridge: Cambridge University Press, 1980) がある。
ニューギニアの植物の栽培化と食料生産の起源に関する入門書としては、Jack Golson,"Bulmer phase : Early agriculture in the New Guinea highlands," (Andrew Pawley, ed., Man and a Half [Auckland: Polynesian Society, 1991] pp. 484-91) と D. E. Yen,"Polynesian cultigens and cultivars: The question of origin," (Paul Cox, Sandra Banack, eds., Islands, Plants, and Polynesians [Portland: Dioscorides Press, 1991] pp. 67-95) がある。
 インドネシアおよびトレス海峡の島々の人々が交易のためにオーストラリアを訪れていたのに、なぜ相互の文化がごく一部しか伝わらなかったのか、という興味深い疑問については、多くの論文や本が書かれている。C. C. Macknight,"Macassans and Aborigines," Oceania 42:283-321 (1972) にはマカッサル人のオーストラリア訪問について記されている。D. Walker, ed., Bridge and Barrier: The Natural and Cultural History of Torres Strait (Canberra: Australian National University, 1972) ではトレス海峡での交流が論じられている。これらの訪問や交流については、上記の Flood、White、O'connellおよび Allen 他の著書も触れている。
 タスマニア人の初・コct目撃証言を再録した文献としては、N. J. B. Plomley, The Baudin Expedition and the Tasmanian Aborigines 1802 (Hobart: Blubber Head Press, 1983)、N. J. B. Plomley, Friendly Mission: The Tasmanian Journals and Papers of George Augustus Robinson, 1829-1834 (Hobart: Tasmanian Historical Research Association, 1966)、Edward Duyker, The Discovery of Tasmania: Journal Extracts from the Expeditions of Abel Janszoon Tasman and Marc-Joseph Marion Dufresne, 1642 and 1772 (Hobart: St. David's Park Publishing, 1992) がある。タスマニア人社会が孤立していたことによる影響に関する論文には、Rhys Jones,"The Tasmanian Paradox," (R. V. S. Wright, ed., Stone Tools as Cultural Markers [Canberra: Australian Institute of Aboriginal Studies, 1977] pp.189-284)、Rhys Jones,"Why did the Tasmanians stop eating fish?" (R. Gould, ed., Explorations in Ethnoarchaeology [Albuquerque: University of New Mexico Press, 1978] pp. 11 -48)、D. R. Horton,"Tasmanian adaptation," Mankind 12:28-34 (1979)、I. Walters,"Why did the Tasmanians stop eating fish?: A theoretical consideration," Artefact 6:71-77 (1981)、およびRhys Jones,"Tasmanian Archaeology," Annual Reviews of Anthropology 24:423-46 (1995) などがある。Robin Sim によるフリンダーズ島の考古学的発掘の成果については、当人の論文 "Prehistoric human occupation on the King and Furneaux Island regions, Bass Strait," (Marjorie Sullivan et al., eds., Archaeology in the North [Darwin: North Australia Research Unit, 1994] pp. 358-74) に記されている。

 第16章〜第17章

 これまでにあげてきた文献には、東アジアの食料生産について書かれているもの(第4〜10章)、中国の文字システムに関するもの(第12章)、中国の技術に関するもの(第13章)、ニューギニアとビスマーク諸島とソロモン諸島全般に関するもの(第15章)が含まれている。James Matisoff,"Sino-Tibetan linguistics: Present state and future prospects," Annual Reviews of Anthropology 20:469-504 (1991) は、シナ=チベット語ファミリーに属する各言語、およびそれらと他言語との関係を検討している。Takeru Akazawa, Emoke Szathmary, eds., Prehistoric Mongoloid Dispersals (Oxford: Oxford University Press. 1996) と Dennis Etler,"Recent development in the study of human biology in China: A review," Human Biology 64:567-85 (1992) は、中国ないし東アジアの人々の結びつきと拡散に関する証拠について論じている。Alan Thorne, Robert Raymond, Man on the Rim (North Ryde: Angus and Robertson, 1989) は、東アジアや太平洋の島々を含む太平洋沿岸地域の人々の文化、歴史、遺跡について論述している。Adrian Hill, Susan Serjeantson, eds., The Colonization of the Pacific: A genetic Trail (Oxford: Clarendon Press, 1989) は、太平洋の島々の人々、オーストラリアのアボリジニ、ニューギニア人の遺伝子から、彼らの移住ルートと歴史を推測している。Christy Turner靴"Late Pleistocene and Holocene population history of East Asia based on dental variation," American Journal of Physical Anthropology 73:305-21 (1987) と“Teeth and prehistory in Asia," Scientific American 260(2):88-96 (1989)で、人骨の歯の構造に基づき歴史を解釈している。
 特定地域に焦点を当てた古代史のうち、中国を扱っているのは、Kwangchih Chang, The Archaeology of Ancient China, 4th ed. (New Haven: Yale University Press,1987)、David Keightley, ed., The Origins of Chinese Civilization (Berkeley: University of California Press, 1983)、David Keightley,"Archaeology and mentality: The making of China," Representations 18:91-128 (1987) である。Mark Elvin, The Pattern of the Chinese Past (Stanford: Stanford University Press,1973) は、中国の政治的統一以来の歴史を考察している。東南アジアの古代史の解説書として重宝なのは、Charles Higham, The Archaeology of Mainland Southeast Asia (Cambridge: Cambridge University Press, 1989) などである。朝鮮の古代史については、Sarah Nelson, The Archaeology of Korea (Cambridge: Cambridge University Press, 1993) がある。インドネシア、フィリピン、熱帯東南アジアの古代史については、Peter Bellwood, Prehistory of the Indo-Malaysian Archipelago (Sydney: Academic Press, 1985) がある。マレー半島については、Peter Bellwood,"Cultural and biological differentiation in Peninsular Malaysia: The last 10,000 years," Asian Perspectives 32:37-60 (1993) がある。インド亜大陸の古代史の文献としては、Bridget and Raymond Allchin, The Rise of Civilization in India and Pakistan (Cambridge: Cambridge University Press, 1982) がある。東南アジア島嶼部および太平洋について、とりわけラピタ式土器に力点を置いて書かれた文献としては、Antiquity 63:547-626 (1989) に掲載された五つの論文と、Patrick Kirch, The Lapita Peoples: Ancestors of the Oceanic World (London: Basil Blackwell, 1996) がある。オーストロネシア人の拡散全般については、Andrew Pawley, Malcolm Ross,"Austronesian historical Linguistics and culture history," Annual Reviews of Anthropology 22:425-59 (1993)と、Peter Bellwood et al., The Aust ronesians: Comparative and Historical Perspectives (Canberra: Australian National University, 1995) がある。
 Geoffrey Irwin, The Prehistoric Exploration and Colonization of the Pacific (Cambridge: Cambridge University Press, 1992) は、ポリネシア人の航海と移住をテーマとしている。ニュージーランドおよびポリネシア東部への入植の年代について論じているのは、Atholl Andersonの"The chronology of colonisation in New Zealand," Antiquity 65:767-95 (1991) と"Current approaches in East Polynesian colonisation research,"、そして Patrick Kirch, Joanna Ellison,"Palaeoenvironmental evidence for human colonization of remote Oceanic islands," Antiquity 68:310-21(1994)である。

 第18章

 この章の関連文献の多くは、すでにほかの章でリストアップしている。インカとアステカの征服については第3章、飼育栽培化については第4〜10章、感染症は第11章、文字は第12章、技術は第13章、政治機構は第14章、中国については第16章で紹介してきた。食料生産開始年代を全世界的に比較した書物としては、Bruce Smith, The Emergence of Agriculture (New York: Scientific American Library, 1995) があげられる。
 表18-1(下巻本文232-233ページ)にまとめた歴史の経路に関する文献としては、これまでにあげたものを除くと、以下のようなものがある。イングランド関連 : Timothy Darvill, Prehistoric Britain (London: Batsford, 1987)。アンデス関連 : Jonathan Haas et al., The Origins and Development of the Andean State (Cambridge: Cambridge University Press, 1987)、Michael Moseley, The Incas and Their Ancestors (New York: Thames and Hudson, 1992)、および、Richard Burger, Chavin and the Origins of Andean Civilization (New York: Thames and Hudson, 1992) 。アマゾン川流域関連 : Anna Roosevelt, Parmana (New York: Academic Press, 1980)、Anna Roosevelt et al.,"Eighth Millennium pottery from a prehistoric shell midden in the Brazilian Amazon," Science 254:1621-24(1991)。中央アメリカ関連 : Michael Coe, Mexico, 3rd ed. (New York: Thames and Hudson, 1984)/『メキシコ──インディオとアステカの文明を探る』寺田和夫訳、学生社(1975)、Michael Coe, The Maya, 3rd ed. (New York: Thames and Hudson, 1984)/『マヤ』寺田和夫・加藤泰建訳、学生社(1975)。合衆国東部関連 : Vincas Steponaitis,"Prehistoric archaeology in the southeastern United States, 1970-85," Annual Reviews of Anthropology 15:363-404 (1986)、Bruce Smith,"The archaeology of the southeastern United States: From Dalton to de Soto, 10,500-500 B.P.," Advances in World Archaeology 5:1-92 (1986)、William Keegan, ed., Emergent Horticultural Economies of the Eastern Woodlands (Carbondale: Southern Illinois University, 1987)、Bruce Smith, "Origins of agriculture in eastern North America," Science 246:1566-71 (1989)、Bruce Smith, The Mississippian Emergence (Washington, D.C.: Smithsonian Institution Press, 1990)、Judith Bense, Archaeology of the Southeastern United States (San Diego: Academic Pr ess, 1994)。北アメリカの先住民に関するコンパクトな参考文献としては、Philip Kopper, The Smithsonian Book of North American Indians before the Coming of the Europeans (Washington, D.C.: Smithsonian Institution Press, 1986) がある。Bruce Smith,"The origins of agriculture in the Americas," Evolutionary Anthropology 3:174-84 (1995) は、新世界で食料生産が始まった年代が早いか遅いかをめぐる論争について書かれている。
 新世界の食料生産および社会の制約となったのは、飼育栽培化に適した野生種があまり存在しなかったという事実ではなく、アメリカ先住民の心理的ないし文化的な要因だと考えがちな人は、馬が伝わったことによる大平原インディアンの社会の変化に関する次の3つの文献を読むべきである。Frank Row, The Indian and the Horse (Norman: University of Oklahoma Press, 1955)、John Ewers, The Blackfeet: Raiders on the Northwestern Plains (Norman: University of Oklahoma Press, 1958)、Ernest Wallace, E. Adamson Hoebel, The Comanches: Lords of the South Plains (Norman: University of Oklahoma Press, 1986)。
 食料生産のはじまりとの関連で言語ファミリーの拡散を論じた著作のうち、ヨーロッパに関する古典的なものは、Albert Ammerman, L. L. Cavalli-Sforza, The Neolithic Transition and the Genetics of Populations in Europe (Princeton: Princeton University Press, 1984) である。Peter Bellwood,"The Austronesian dispersal and the origin of languages," Scientific American 265(1):88-93 (1991) はオーストロネシア地域を対象として同様のテーマを扱っている。世界の例を引き合いに出している研究書としては、プロローグの関連文献としてあげた、L. L. Cavalli-Sforza 他の2冊の本と、Merritt Ruhlen の著作がある。インド=ヨーロッパ語の拡散をめぐる正反対の見解を紹介した次の2冊の本は、この論争に関する入門書となる。Colin Renfrew, Archaeology and Language: The Puzzle of Indo-European Origins (Cambridge: Cambridge University Press, 1987)/『ことばの考古学』橋本槙矩訳、青土社(1993)、J. P. Mallory, In Search of the Indo-Europeans (London: Thames and Hudson, 1989)。ロシア語のシベリアへの拡散に関する情報を提供してくれるのは、George Lantzeff, Richard Pierce, Eastward to Empire (Montreal: McGill-Queens University Press, 1973), W. Bruce Lincoln, The Conquest of a Continent (New York: Random House, 1994) である。
 アメリカ先住民の言語について、多数の独立した言語ファミリーがあるとする多数派の見解を表明している文献の一例として、Lyle Campbell, Marianne Mithun, The Languages of Native America (Austin: University of Texas, 1979) があげられる。これとは反対に、エスキモー=アレウト語ファミリーとナ=デネ語ファミリー以外のアメリカ先住民の言語をすべてひとまとめにしてアメリンド語ファミリーと名づけているのは、Joseph Greenberg, Language in the Americas (Stanford: Stanford University Press, 1987) およびMerritt Ruhlen, A Guide to the World's Languages, vol. 1 (Stanford: Stanford University Press, 1987) である。
ユーラシア大陸における輸送用の車輪の起源と伝播に関する文献としては、M. A. Littauer, J. H. Crouwel, Wheeled Vehicles and Ridden Animals in the Ancient Near East (Leiden: Brill, 1979), Stuart Piggott, The Earliest Wheeled Transport (London: thames and Hudson, 1983) があげられる。
 古代スカンジナビア人のグリーンランドおよびアメリカ大陸への入植のはじまりと終わりに関する本には、Finn Gad, The History of Greenland, vol. 1(Montreal: McGill-Queens University Press, 1971)、G. J. Marcus, The Conquest of the North Atlantic (New York: Oxford University Press, 1981)、Gwyn Jones, The North Atlantic Saga, 2nd ed.,(New York: Oxford University Press, 1986)、Christopher Morris, D. James Rackham, eds., Norse and Later Settlement and Subsistence in the North Atlantic (Glasgow: University of Glasgow, 1992) がある。Samuel Eliot Morison の2冊の著書は、ヨーロッパ人の新世界への初期の航海を見事に説いてくれる。The European Discovery of America: The Northern Voyages, A.D. 500-1600 (New York: Oxford University Press, 1971) と The European Discovery of America: The Southern Voyages, A.D. 1492-1616 (New York: Oxford University Press, 1974) である。ヨーロッパの海外進出のはじまりを扱っているのは、Felipe Fernandez-Armesto, Before Columbus: Exploration and Colonization from the Mediterranean to the Atlantic, 1229-1492 (London: Macmillan Education, 1987) である。忘れてならないのは、歴史上もっとも有名な航海のコロンブス自身による日誌であり、これは Oliver Dunn, James Kelley, Jr., The Diario of Christopher Columbus's First Voyage to America, 1492-1493 (Norman: University of Oklahoma Press, 1989) として復刻されている。
 ある種族が他の種族をどのように征服または虐殺したかに関する、本書のおおむね冷静な記述には飽き足りない読者に対しては、北カリフォルニアのヤヒ族の絶滅と、それを唯一逃れえたイシ族を描いた古典的な文献、Theodora Kroeber, Ishi in Two Worlds (Berkeley: University of California Press, 1961) /『イシ──北米最後のインディアン』行方昭夫訳、岩波書店(1991)を推薦する。南北アメリカ大陸およびそのほかの地域における先住民の言語の消滅をテーマとする文献としては、Robert Robins, Eugenius Uhlenbeck, Endangered Languages (Providence: Berg, 1991), Joshua Fishman, Reversing Language Shift (Clevedon: Multilingual Matters, 1991), Michael Krauss,"The world's languages in crisis," Language 68:4-10 (1992)がある。

 第19章

 アフリカ大陸の古代から現代にいたるまでの歴史を扱った書物としては、Roland Oliver, Brian Fagan, Africa in the Iron Age (Cambridge: Cambridge University Press, 1975)、Roland Oliver, J. D. Fage, A Short History of Africa, 5th ed. (Harmondsworth: Penguin, 1975)/『アフリカの歴史』友田錫・北詰洋一訳、時事通信社(1964)、J. D. Fage, A History of Africa (London: Hutchinson, 1978)、Roland Oliver, The African Experience (London: Weidenfeld and Nicolson, 1991)、Thurstan Shaw et al., eds., The Archaeology of Africa: Food, Metals, and Towns (New York: Routledge, 1993)、およびDavid Phillipson, African Archaeology, 2nd ed.(Cambridge: Cambridge University Press, 1993) /『アフリカ考古学』河合信和訳、学生社(1987)などがある。アフリカの歴史に関する言語学的な証拠と考古学的な証拠の相関関係を概説している本としては、Christopher Ehret, Merrick Posnansky, eds., The Archaeological and Linguistic Reco nstruction of African History (Berkeley: University of California Press, 1982) がある。病気が果たした役割を論じているのは、Gerald Hartwig, K. David Patterson, eds., Disease in African History (Durham: Duke University Press, 1978) である。
 アフリカの食料生産については、第4〜10章の関連文献としてあげたものの多くが、この問題について論じている。さらに注目すべき文献としては、Christopher Ehret,"On the antiquity of agriculture in Ethiopia," Journal of African History 20:161-77 (1979)、J. Desmond Clark, Steven Brandt, eds., From Hunters to Farmers: The Causes and Consequences of Food Production in Africa (Berkeley: University of California Press, 1984)、Art Hansen, Della McMillan eds., Food in Sub-Saharan Africa (Boulder, Colo.: Rienner, 1986)、Fred Wendorf et al.,"Saharan exploitation of plants 8,000 years B.P.," Nature 359:721-24 (1992)、Andrew Smith, Pastoralism in Africa (London: Hurst, 1992)、およびAndrew Smith,"Origin and spread of pastoralism in Africa," Annual Reviews of Anthropology 21:125-41 (1992)があげられる。
 マダガスカル島に関する情報源は、手始めに読むものとしては、Robert Dewar, Henry Wright,"The culture history of Madagascar," Journal of World Prehistory 7:417-66 (1993)と、Pierre Verin, The History of Civilization in North Madagascar (Rotterdam: Balkema, 1986) がある。マダガスカルへ入植した人々の出身地に関する言語学的な証拠の詳細な研究としては、Otto Dahl, Migration from Kalimantan to Madagascar (Oslo: Norwegian University Press, 1991) がある。インドネシア人が東アフリカにまで到達していた証拠となりうる音楽面での証拠は、A. M. Jones, Africa and Indonesia: The Evidence of the Xylophone and Other Musical and Cultural Factors (Leiden: Brill, 1971) で取り上げられている。いまは絶滅した動物の骨が、マダガスカルへの初期の入植に関する重要な証拠になると論じているのは、Robert Dewar,"Extinctions in Madagascar: The loss of the subfossil fauna," (Paul Martin, Richard Klein, eds., Quaternary Extinctions [Tucson: University of Arizona Press, 1984] pp. 574-93) である。その後の、化石の発見については、R. D. E. MacPhee, David Burney,"Dating of modified femora of extinct dwarf Hippopotamus from Southern Madagascar," Journal of Archaeological Science 18:695-706 (1991) で報告されている。David Burney,"Late Holocene vegetational change in Central Madagascar," Quaternary Research 28:130-43 (1987) は、古植物学の証拠から人間の入植が始まった時期を推測している。

 エピローグ

 ギリシアにおける環境の悪化と文明の衰退との関連について検討している文献としては、Tjeerd van Andel et al.,"Five thousand years of land use and abuse in the southern Argolid," Hesperia 55:103-28 (1986)、Tjeerd van Andel, Curtis Runnels, Beyond the Acropolis: A Rural Greek Past (Stanford: Stanford University Press, 1987)、Curtis Runnels,"Environmental degradation in ancient Greece," Scientific American 272(3):72-75 (1995) がある。ペトラ(ナバテア王国)を対象に同様の考察を行なっているのは、Patricia Fall et al.,"Fossil hyrax middens from the Middle East: A record of paleovegetation and human disturbance," (Julio Betancourt et al., eds., Packrat Middens [Tucson: University of Arizona Press, 1990] pp. 408-27) 。同じくメソポタミアを対象としているのは、Robert Adams, Heartland of Cities (Chicago: University of Chicago Press, 1981)である。
 E. L. Jones, The European Miracle, 2nd ed.(Cambridge: Cambridge University Press, 1987) /『ヨーロッパの奇跡──環境・経済・地政の比較史』安元稔・脇村孝平訳、名古屋大学出版会(2000)は、中国、インド、イスラム、ヨーロッパの歴史の相違について、いろいろ参考になる解釈を示している。Louise Levathes, When China Ruled the Seas (New York: Simon and Schuster, 1994) /『中国が海を支配したとき──鄭和とその時代』君野隆久訳、新書館(1996)は、船団の派遣を中止に追いこんだ中国の権力闘争について書いている。古い時代の中国の歴史に関するこれ以外の文献は、第16章と17章の関連文献としてあげてある。
 中央アジアの騎馬遊牧民がユーラシアの定住農民の多様な文化に与えた影響について論じているのは、Bennett Bronson,"The role of Barbarians in the fall of states," (Norman Yoffee, George Cowgill, eds., The Collapse of Ancient States and Civilizations [Tucson: University of Arizona Press, 1988] pp.196-218) である。
 カオス理論と歴史の関連については、Michael Shermer,"Exorcising Laplace's demon: Chaos and antichaos, history and metahistory," History and Theory 34:59-83 (1995)が論じている。この論文にはまた、QWERTY配列のキーボードの勝利に関する参考文献一覧もついており、その点は、Everett Rogers, Diffusion of Innovations, 3rd ed. (New York: Free Press, 1983) /『イノベーション普及学』青池慎一・宇野善康監訳、浜田とも子他訳、産能大学出版部(1990)も同様である。
 1930年にヒトラーが遭遇し、あやうく一命を失いそうになった交通事故の目撃証言は、ヒトラーの車に同乗していた Otto Wagener の回想録に記されている。この回想録は Henry Turner, Jr.によって編集され、Hitler : Memoirs of a Confidant (New Haven: Yale University Press, 1978) という本にまとめられている。Turner は David Wetzel, ed., German History: Ideas, Institutions, and Individuals (New York: Praeger, 1996) の自分が担当した章「ヒトラーが歴史に与えた影響」で、ヒトラーが1930年の事故で死んでいたらどうなっていたかを推測している。
 長期にわたる歴史の諸問題に関心を寄せる歴史家の優れた本は数多く、Sidney Hook, The Hero in History (Boston: Beacon Press, 1943)、Patrick Gardiner, ed., Theories of History (New York: Free Press, 1959)、Fernand Braudel, Civilization and Capitalism (New York: Harper and Row, 1979), Fernand Braudel, On History (Chicago: University of Chicago Press, 1980)、Peter Novick, That Noble Dream (Cambridge: Cambridge University Press, 1988)、Henry Hobhouse, Forces of Change (London: Sedgewick and Jackson, 1989) などがある。
 生物学者 Ernst Mayr は、いくつかの著作で歴史科学と非歴史科学の違いについて論じており、とりわけ生物学と物理学との際立った相違に言及しているが、Mayr の主張は人類史にも当てはまる。彼のこうした見解は、Evolution and the Diversity of Life (Cambridge: Harvard University Press, 1976) の第25章と、Towards a New Philosophy of Biology (Cambridge: Harvard University Press, 1988) の第1〜2章にも見られる。
 疫学者が、人間を相手に実験を行なうという手段に訴えることなく、人間の病気に関する因果関係を導き出す方法は、A. M. Lilienfeld, D. E. Lilienfeld, Foundations of Epidemiology, 3rd ed. (New York: Oxford University Press, 1994) のような定評のある疫学の教科書に書かれている。大自然の実験の利用については、Jared Diamond, Ted Case, eds., Community Ecology (New York: Harper and Row, 1986) で私が担当した章 "Overview: Laboratory experiments, field experiments, and natural experiments,"pp. 3-22 で、生態学者の視点から考察されている。Paul Harvey, Mark Pagel, The Comparative Method in Evolutionary Biology (Oxford: Oxford University Press, 1991) /『進化生物学における比較法』粕谷英一訳、北海道大学図書刊行会(1996)は、生物種を比較することにより結論を引き出す方法を分析している。