草思社

書籍詳細

サトラップの息子
そうだ、小説を書こう! その思いつきが少年二人にもたらした運命の皮肉──。自伝的物語に作家らしい企みが凝らされ、小説家トロワイヤを存分に味わえる佳品。
ISBN 978-4-7942-1283-2
定価 1,760円(本体1,600円)
判型 四六判
頁数 192頁
初版刊行日 2004年02月27日
原書タイトル LE FILS DU SATRAPE
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アンリ・トロワイヤ
1911年モスクワ生まれ。1920年に一家でフランスに亡命。1938年に発表された『蜘蛛』は、サルトルの『嘔吐』と争いゴンクール賞を受賞。1959年に異例の若さでアカデミーフランセーズ会員となり、現在に至るまで作品を発表し続けるフランス文学界の重鎮。著書に『女帝エカテリーナ』『大帝ピョートル』(以上、中公文庫)、『バルザック伝』(白水社)他多数。
小笠原豊樹
1932年生まれ。2014年没。訳書にマヤコフスキー、ソルジェニーツィン、プレヴェール、ロス・マクドナルド、ブラッドベリ、トロワイヤなど多数。2014年に著書『マヤコフスキー事件』で第65回読売文学賞(評論・伝記賞)受賞。また岩田宏名義で、詩をはじめ随筆、小説、評論を多数発表。1966年に「岩田宏詩集」で藤村記念歴程賞受賞。
この本へのご意見・ご感想
二つの亡命が、少年を作家に変えた──
自伝的物語に秘めた、小説家のたくらみ

 革命に揺れるロシアからフランスへ家族とともに亡命してきた少年は、パリで友人ニキータと再会を果たした。
 そうだ、小説を書こう! と、少年二人は意気投合。題は……そう、『サトラップの息子』だ。荒唐無稽な思いつき、次々繰り出される「盛り上がり」。だが小説作りの試みは唐突に中断される。ニキータの行方は、『サトラップの息子』の続きは──。そして二人の少年に訪れる運命の皮肉。
 著者自身が実名で登場する自伝的物語に、小説家らしいたくらみが凝らされた傑作。