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チョッちゃん
涙なしに読めない放浪犬チョッちゃんの物語
こんなにやさしい子思いの犬がいた!
都心近くの廃屋に住む哀れな捨て犬とある犬好きの夫妻の物語。
捨て犬は毎回一頭ずつ、仔犬をつれてくる。夫妻に面倒をみてほしいというのである。
著者の観察の鋭さ、犬への思いやり、それにこたえる犬。
そして人間を凌ぐ犬の知恵深さが感動を呼ぶ一冊。
チョッちゃん
石井 宏 著
ISBN:4-7942-1446-4
本体1500円
本の一部を立ち読みできます

チョッ、チョッ、チョッと歩いてくる姿から「チョッちゃん」の名がついた


チョッちゃん(右)とつれあいの久太


チョッちゃんが連れてきた子犬のマルちゃん(右)とクロちゃん。 ふたりそろってバス・タブに手をかけてこちらを見る


母親のチョッちゃんと遊ぶマルちゃん

西井夫妻の手もとにはマルちゃんが残り、元気に育っていった。 横目でチロリと見るお得意の顔

体が黒、白、茶の三色で、三番目の子だったことから名づけられたサンちゃん。チョッちゃんの子のなかで一番の美男子

岩合光昭氏評
 さすがに音楽家はリズムからものごとが始まるのですね。イヌの名前を「チョッちゃん」と付けたのがチョッ、チョッ、チョッと軽いステップを踏むような彼女の走る姿からひらめいたということですから得心がいきます。チョッちゃんが西井さん宅を自分の巣として選んだことは本を読み進んでいくなかでごく自然だったように感じます。動物はヒトが考えている以上に深くそして正確にヒトを観察しています。そのために、この家だ、と決めるのもヒトにはどうしてだろうと思えるのですが実は動物にとっては不思議ではないことも多いのではないでしょうか。西井さんのお嬢さんが学校との間で引き起こす事件もヒトの世界の思考がいかに狭いかを表しているようです。子育てもイヌやネコなどの動物と暮らすこともヒトとしての資質が大いに試されているのですね。
 チョッちゃんのヒトを見る目は彼女の出現からうかがい知ることができそうです。始めのうちは距離を置いて西井文恵さんやネコたちを観察していたチョッちゃんの姿はその場にいたようにイメージできます。そのあと、チョッちゃんが生んだ子イヌたちを文恵さんに託すことはヒトにとっては理解しがたいような体験ですがチョッちゃんには当たり前のようにも想像できます。チョッちゃんがヒトの動物として本来もっている潜在的な能力を呼び覚まさせてくれているような出来事がとくに興味深く読みました。本にところどころ挟み込まれている写真はどれも可愛くて西井家の皆さんが動物たちといかに密接に暮らしていて、写真のなかでイヌたちがカメラに向かって語りかけているのがわかるような写真です。一番可愛いシャッターチャンスをイヌたち自身が知っているのですね。
 私ごとですが、今ぼくのヒザの上にいるネコは我が家(八ヶ岳の麓です)から3キロほど離れた高速道路のインターから降りてくるぼくの車の音がどうやらわかるらしいのです。ネコはあわてて「おかえりなさい」の準備を玄関に向かってするそうです。これもネコにとってはなんということはないのでしょう。でもそのことを聞いてぼくは無性にうれしくなるのです。
(動物写真家)