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日本の老人は恵まれすぎている?

◆意外なことに格差社会! ドイツの医療と介護の現在
ドイツの医療や介護といえば、多くの人が典型的な福祉国家のそれをイメージするでしょう。しかし、ドイツ在住36年の著者によれば、実はまったくそうではありません。
ドイツでは、一般的な「法的強制医療保険」と、お金持ちのための「プライベート医療保険」の医療格差が問題になっています。強制保険の患者は、近所のクリニックでさえすぐに診てもらえず、数日待ちも珍しくありません。プライベート保険の加入者しか診ない医院も増えていて、強制保険の患者はそういう医院では、門前払いとなります。
また、高齢者介護でも、格差が問題になっています。老人ホーム費用は、介護保険を使っても自己負担が月額20万円を超えることが普通で、事実上お金持ちしか入れず、庶民には高嶺の花。日本の「特別養護老人ホーム」のように、リーズナブルな値段で入れる老人ホームの制度はありません。
これらの原因の一つは、高齢化です。日本は世界第1位の高齢国家ですが、ドイツも実は世界第4位。高齢化が社会を蝕みつつある状況は日本と同じで、その影響がさまざまに表出しているのです。
◆2025年問題。「ではどうすればいいのか」を考えるヒントが国際比較に
とはいえ、日本のほうがずっと高齢化が進んでおり、事態は深刻です。たとえば、日本の人口あたりの医師の数は、実はドイツの6割以下。現状でも医療現場に非常に大きな負荷がかかっていますが、団塊の世代が後期高齢者となる2025年以降、増加する患者に対応しきれるかどうか、心配されています。介護人材についても、2035年にはじつに79万人が不足すると予測されています。
日本のほうが深刻さの度合いが高いのに、介護や医療において、日本はドイツより恵まれています。ということは、その持続可能性は、ドイツよりずっと低いと考えるべきでしょう。
ではどうすればいいのか。今、手を打たないと、将来にわたって、国を支えるべき若い人たちに過重な負担を掛け、日本を衰退させることになりかねません。
その「どうすればいいのか」を考えるとき、他国と比べることにより、学ぶこと、気づくことは少なくないはずです。ドイツの失敗や成功を知り、日本の「当たり前」がじつは当たり前ではないことに気づき、日本特有の問題が何なのかを認識する。空理空論に陥りがちな各種施策にかんする議論も、ドイツの実例を踏まえれば、リアリティを持ったものになるにちがいありません。
豊かな国を若い世代に引き継ぐため、この議論は今すぐ、はじめなければなりません。本書がそのきっかけとなることを願っています。
(担当/久保田)
