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拉致問題解決のために長年戦ってきた
著者による警世の書
北朝鮮の漂着船
――海からやってくる新たな脅威
荒木和博 著
北朝鮮から日本に流れつく無数の木造船――。その数は昨年秋に急増し、今年2月まででなんと100 隻以上にのぼりました。そして今年も11月以降、その数は急激に増え続けています。
特定失踪者問題調査会の代表として長年、北朝鮮による拉致問題の解決に取り組んできた著者は、北朝鮮工作員の上陸地点と木造船の漂着地が重なっているのに気づき、実際に現地に出向いて調査を行ないました。そして、驚くべき事実に直面します。漂着船の中には明らかに漁民以外が乗っていた形跡があるということ。そして、その一部が密かに日本に上陸していたとしても誰にもわからないということです。
私たちは「日本は海に囲まれているから安全」と考えがちですが、この認識を根本から改める必要があると著者は書いています。長大で複雑な海岸線を持つ日本は、悪意を持って侵入しようとする者から国土を守ることがきわめて難しく、実際に多数の北朝鮮工作員が日本人を拉致していきました。そして現在、日本のガラ空きの海岸線におびただしい数の漂着船が流れ着いているのです。半島有事の際には、漂着船がたどる「運搬ルート」経由で多くの難民が日本をめざす可能性もあります。
にもかかわらず、現在の日本には海から迫りくる危機への備えが十分にできていません。それどころか、漂着船に関する情報自体もきわめて不十分にしか開示されていない状況があります。その点で、この問題と拉致問題は非常によく似ているのです。悲劇が起こってしまってからでは遅い。著者はそういう危機意識で本書を書き上げました。本書が日本の「平和」とは何かを考えるきっかけになれば幸いです。
(担当/碇)