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四字熟語は何でこんなに頭を刺激するのだろうか。

<声に出して読みたい・こどもシリーズ>
こども四字熟語
―― 大胆不敵
齋藤孝 著 /丸山誠司 絵
「こども四字熟語」書影

 漢字パズルが大はやりである。とくに四字熟語の穴埋め問題、この本の巻末にも問題が取り入れられているが、四字のうち二字を空欄にして「奇想天外」なら「□想□外」として□の空欄に入る漢字を当てさせる問題など、テレビのクイズ番組では毎日のようにやっている。いまだに大人から子どもまで日本人は「四字熟語」に夢中なのである。

 齋藤孝先生は漢字の熟語や四字熟語が子どもの頭の発達にとてもいいと言っている。「空」と「気」がくっついて「空気」となったり、「波」と「乱」と「万」と「丈」とで「波乱万丈」となったりする、二つ以上の漢字がくっついてまったく別の意味に転化する熟語というものが、子どもには興味津々であり、とりわけ頭を刺激し、教育効果を上げるものだというのである。

 なかでも四字熟語は子どもから大人まで、知っていると語彙力が上がり、教養が高まり、きっぱりした言い方がとても気持ちよく感じられる。スポーツ中継などで「起死回生のホームラン」とか「一騎当千のメンバーが集まった」とかいうのもこの効果を狙ったものだろう。普段の会話に使ってもかっこいい。

 漢字が誕生してから5000年、日本に入ってきてから1500年ぐらいはたっているだろうか。漢字をいまだにちゃんと使っている国は中国と台湾と日本ぐらいだ。朝鮮もベトナムもほとんど捨ててしまった。

 この漢字と仮名が混じった日本語の体系が特有のもので、日本人の頭脳の優秀さに寄与しているという説があるが、それはともかくとして、固有の日本文化を形作っているのは確かだ。四字熟語もその一つの精髄である。

 「弱肉強食」の「□肉□食」という問題に「焼肉定食」と書いた迷答が有名だが、頭を鍛えるのに四字熟語は格好の素材である。

(担当/木谷)

著者紹介

齋藤孝(さいとう・たかし)
1960年、静岡県生まれ。東京大学法学部卒業、同大学大学院教育学研究科博士課程を経て、現在、明治大学文学部教授。専攻は教育学、身体論、コミュニケーション技法。著書に『宮沢賢治という身体』(世織書房、宮澤賢治賞奨励賞)『身体感覚を取り戻す』(日本放送出版協会、新潮学芸賞)『声に出して読みたい日本語』(草思社、毎日出版文化賞特別賞)など多数。近著に『語彙力こそが教養である』(角川書店)『こども孫子の兵法』(日本図書センター)『こども論語』『こども故事成語』(草思社)がある。NHK・ETV「にほんごであそぼ」総合指導など、マスコミでも活躍中。

イラストレーター

丸山誠司(まるやま・さとし)
1968年 岐阜県生まれ。愛知県育ち。2010年『にんじゃサンタ』(PHP研究所)で絵本デビュー。『おしろとおくろ』(佼成出版社)、『こんなことがあっタワー』(えほんの杜)、『だるまなんだ』(文・おおなり修司 絵本館)、『でんしゃずし』(交通新聞社)など、ユニークで楽しい絵本を多数発表。絵本のほか、書籍や雑誌・広告イラストレーションの分野でも活躍。「僕ビール、君ビール。」のパッケージが話題。
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