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日本統治の歴史を一次資料をもとに再構築し、「反日」の起源を明らかにするとともに、
それが国家イデオロギーへと発展する過程を圧巻の筆で描く!
日韓関係が悪化の一途をたどっています。というより、韓国側の一連の行為によって日本国内の対韓国感情がかつてない水準にまで悪化している、というほうが正確かもしれません。旭日旗問題、慰安婦合意の破棄、「徴用工」判決、レーダー照射問題……と、日本の国民感情を逆なでするような事態が立て続けに起こるのはなぜなのか。本書は長年にわたって韓国研究に携わってきた著者が、膨大な資料を援用しながら韓国の「反日」の起源とその構造を明らかにした一冊です。
それが実体験にもとづく「反日感情」であるのならば、生々しい記憶が残っている戦争直後にもっとも強烈に存在し、時の流れとともに弱まっていくはずですが、現実はその逆です。戦後、日本は韓国の最大の経済支援国であり続け、両国間で起こった唯一の紛争である竹島問題では一方的な占拠を許してしまった側なのです。
にもかかわらず韓国で反日感情が高まり続ける理由を、著者はそれが韓国の「国家イデオロギー」として機能してきたからだと説明しています。かつて共産主義国家が共産主義思想によって国家を統合し国民を教化していったように、韓国は反日によって国家の存立を正当化している、ということです。日本統治時代に近代化の道を歩み始め、日本を範型として民族の枠組をつくり、日本の制度・文物を自国の新たな「伝統」としてしまった韓国は、それゆえにこそ日本を全否定する価値観が必要となるのです。
日韓関係が現実にはどのようなものだったのかについて、本書ほど詳細かつ明確に論じた本はありません。そして本書をお読みいただければ、なぜ史実とかけ離れた歴史問題が執拗に持ち出されるのか、そして、日本が韓国にどのような態度で臨めばよいかも明らかになります。これからの日韓関係を考える上での基本図書となる一冊です。
(担当/碇)