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欺瞞に満ちた「一国二制度」によって呼びさまされた 香港人意識(=本土意識)をキーワードに香港危機の本質を読み解く!

「逃亡犯条例」の改正に端を発する香港の騒乱が世界中の注目を集めています。なぜ、香港の人々はこれほど激しく抵抗しているのか。そして、その背景にはどんな社会状況があるのか。本書は香港在住七十年のベテランジャーナリストが、中国への返還以降、香港の人々を苛んできた「一国二制度」のいびつな実態を暴くとともに、中国政府の圧迫によって生まれた「本土意識(香港人意識)」の高揚にも光を当てるタイムリーな一冊です。
著者の李怡(リー・イー)氏は一九三六年生まれで、政論雑誌の編集長として三十数年、そのあとはコラムニストとして香港社会や中国政府の動向を観察してきた人物です。香港人のエスニックな感情を理解するうえで不可欠な広東語を自在に操り、その皮膚感覚に裏打ちされた筆致は鋭く、時にユーモラスでもあります。
著者が、現在の香港の状況を読み解くキーワードとして繰り返し使っているのが「本土意識」という言葉です。「本土意識」とは、香港をみずからの「ふるさと」と考え、香港の現状(法治主義)を尊重し、広東語の文化を愛し、香港の利益を優先するローカリズム(地域主義)の意識である――と、本書の訳者であり、やはり多年にわたり香港を取材してきたジャーナリストの坂井臣之助氏は本書の「解説」で述べています。本書では、香港で「本土意識」が台頭するいきさつから、本土派の中の過激派と穏健派の対立、旧香港人と新香港人の対立、中国に傾斜する香港の政治・経済の現況、親・中国団体と裏社会との関係など、多岐にわたる論点から本土意識の在りようを紹介しています。
本書をお読みいただければ、香港の現在の状況が突発的に発生したものではなく、多年にわたって香港の人々が被ってきたさまざまな苦難が臨界点を超えた結果であることがご理解いただけるのではないかと思います。著者は日本の読者に向けた序文を、「みずからの力のほどもわきまえずに自由、法治の保持を追求するこの小さな土地に関心を払ってくださったことに感謝したい」という言葉で結んでいます。香港の人々が現在、直面している問題は、いずれ日本人が直面する問題なのかもしれません。その意味でも本書は今こそ必読の一冊といえます。
(担当/碇)
