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なぜミツバチは、あらゆる文化に「住み着く」のか?

ミツバチと文明
――宗教、芸術から科学、政治まで
         文化を形づくった偉大な昆虫の物語
クレア・プレストン著 倉橋俊介 訳

◆キリスト教もガウディもミツバチの影響を受けている

 近年、日本でも都心で養蜂が行われるなど、注目が増しているミツバチですが、人類との付き合いは1万年以上前に遡ります。たとえば、キリスト教においてミツバチは、もっとも勤勉で、慎み深いとして信者の模範的な態度の例とされていました。一方で、工学においては、ガウディ建築におけるその特徴的なアーチのヒントにもなっています。これはほんの一部に過ぎず、ある時は共和制の象徴になり、またある時は社会主義の比喩にされたりと、時代ごと、地域ごとに、人類はあらゆるジャンルに於いてミツバチに自分の信条をたくし、ミツバチから影響を受けてきました。これほど広範な事柄に影響を与えた生き物は、他にそうはいません。なぜ、ミツバチという1種の昆虫が、これほどまで多様な人間の価値観に例えてこられたのでしょうか。それは、ミツバチの持つ複雑な社会性、巣をつくる高度な技術、そして蜂蜜に由来しています。本書は、人類の文化の至るところに現れるミツバチの影響を詳細に紐解き、いかに人間がミツバチから影響を受けてきたかを豊富な図版とともに明らかにします。

◆人類の想像を喚起し続けるミツバチの生態とは?

 ミツバチは、人間が高度な社会性を獲得するよりもはるかに前から高い集団性を獲得していました。また、人類にとって貴重な甘味であり医薬品でもあった蜂蜜ですが、人間以外の生物で、自ら原料を採取して蜂蜜という加工品をつくることは極めて稀なことです。こういったミツバチの習性が、古来から現在に至るまで、人類に様々なインスピレーションを与えてきたのです。文化に住み着いたミツバチの影響は、今までもこれからも生きながらえていきそうだと思える一方で、近年ではミツバチが大量死するという気がかりなニュースも報道されました。本書をご覧になり、この偉大な昆虫と私たちの将来について考える一助となれば幸いです。

(担当/吉田)

著者紹介

クレア・プレストン(Claire Preston)
ロンドン大学クイーン・メアリー校のルネサンス文学・英文学の教授。 著作に『Thomas Browne and the Writing of Early Modern Science 』や 『Edith Wharton's Social Register: Fictions and Contexts 』(いずれも未邦訳)などがある。

訳者紹介

倉橋 俊介(くらはし・しゅんすけ)
国際基督教大学教養学部人文科学科中退。訳書に『世界の山岳大百科』(共訳、山と渓谷社、2013 年)など。
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