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寂しいとき、不安なとき。 人は無意識に自分に触れて自分を癒やしている

皮膚はいつもあなたを守ってる
―― 不安とストレスを軽くする「セルフタッチ」の力
山口創 著

◆自分に触れるとなぜ不安な気持ちが和らぐのか

 不安やストレスを感じたとき、自分の顔を触ったり、手を握りしめたり、無意識にセルフタッチをしていることはありませんか? いくつかの研究によれば、人間は疲労が高まったり、ストレスを感じたときに自分の髪の毛や、顔、腕に触れるセルフタッチが増えることが明らかになっています。これは人間だけではありません。セルフタッチはチンパンジーなどの類人猿でもしています。とくに不安や恐怖などのストレス場面で増えることが観察されています。

 ではなぜ自分に触れると不安やストレスが和らぐのでしょうか。こういうメカニズムが考えられています。つまり、皮膚に手による優しい刺激を与えると、外を向いていた意識が、触れられた皮膚の感覚に移動します。それによって「自分はここにいたんだ」という事実を意識し、自分の存在感を確たるものにすることにつながるというのです。結果的に心の礎が安定し、不安な気持ちやストレスが軽減されるように感じるというわけです。

◆不安なときは顔を指先でトントン、疲れているときは全身に熱めのシャワー、落ち込んでいるときはバタフライ・ハグ……。

 試しに本書で紹介している「セルフタッチ」をやってみましょう。顔を両手で覆ってみる、おなかを優しくさすってみる、自分を抱きしめるようなハグをする。どうでしょうか? しばらくセルフタッチを続けていくと気持ちの変化が感じられると思います。本書では、特にオキシトシン(人間の幸福に関わるホルモン)の分泌を増やすために、セルフタッチの他にも、五感を刺激したり、自分の心や身体をいたわる具体的な方法など、幅広い「セルフケア」を紹介していきます。
 読みながら、自分の身体に触れたり、マッサージすることで、癒やし効果がダイレクトに得られる一冊となっています。

 いまだ収束の兆しが見えないコロナ禍において、本書の存在は不安を抱える方にとっての「癒やしの書」となると思われます。ぜひ多くの方に手に取っていただければ幸いです。

(担当/吉田)

■目次より

はじめに

1章 人はみな「ひとり」から始まる

触れ合いの制限で気づかされたもの

・揺らぐ心の礎
・自分の心を知るための二つの手がかり
・私たちは縛られて生きている
・ストレスをためない人の特徴
・外からではなく内側から自分を感じる

出会いの場で起こる原初的なコミュニケーション

・揺らぐ心の礎
・握手のあと匂いを嗅ぐ人たち
・触覚と親密感
・皮膚の温かさと優しさの関係

同調圧力と身体の同調

・人の身体は無意識に同調している
・同調圧力の正体

身体は今の心の状態を教えてくれる

・呼吸が教えてくれる本当の気持ち
・姿勢に「生きる姿勢」が表れる
・あなたを守る皮膚の役割

これからの時代に必要なセルフの力

・セルフコミュニケーションの視点
・スマホを使いすぎるとうつが増える
・SNSのコミュニケーションでは癒やされない

2章 自分を愛するセルフタッチ

境界としての皮膚の役割

・皮膚は社会的な臓器である
・自分とつながる、自分と隔てる 

ストレスを感じたときにしている身だしなみ行動

・動物のセルフケア
・人のセルフケア

セルフタッチの効能

・人は1時間に23回も自分に触れている
・不安やストレスを鎮める
・認知的なプロセスを助ける
・自分に注意を向ける
・「合掌」もセルフタッチの一種
・セルフタッチと、他者に触れられることの違い

自分に触れると何が起こるのか

・自分に触れることで自分の内側に気づく
・触れることで分泌されるオキシトシン
・触れるとオキシトシン受容体が活性化
・皮膚はストレスを反映する

自分を愛するセルフタッチ

・セルフタッチのやり方
・セルフタッチの効果を高める

3章 自分を愛するセルフタッチ

葛藤する皮膚と心
皮膚は脳のように刺激に応答している

・皮膚はストレスに応答している
・皮膚はポジティブな刺激にも応答している

身体や皮膚を攻撃する病気

・BFRBという病気
・皮膚むしり症という病気
・自閉症と自傷行為

心を映す皮膚感覚

・好きな人に触れられる効能
・自分を嫌いな人は、痛みから“快感”を感じる
・痛みと快感は紙一重
・無意識の行動を意識化してみる

セルフタッチを用いたストレス解消法

・不安なとき
・イライラするとき
・落ち込んでいるとき
・疲れているとき
・心のバランスを取り戻すために

4章 幸せはいつも皮膚から生まれる

オキシトシンは自分で増やせる
五感を刺激する

・嗅覚:ラベンダーはオキシトシンを分泌
・聴覚:ゆったりしたリズムでリラックス
・皮膚感覚:心地よい感触が幸福感を生む
・味覚(食事):絆が深まる
・視覚:目で愛でる効果

自分をいたわり、思いやる

・マインドフルネスとオキシトシン
・セルフコンパッションとは自分への思いやり
・自尊心や甘やかしとは違う
・タッチで伝わる感情
・マインドフルネスのやり方

動物との触れ合いの効果

・犬と人の相互作用とオキシトシン
・普段から動物を飼育している影響
・愛着障害や発達障害の場合
・セラピードッグと自閉症

「人のため」は「自分のため」

・日本人の心の源流
・オキシトシンと利他的行動と健康
・なぜ利他的行動をすると健康になれるのか
・ワーク:慈愛の瞑想

感謝の気持ちが自分を癒やす

・積極的な感謝の姿勢が大切
・感謝の気持ちを持つだけでもリラックス
・気持ちは表情より握手で伝わる
・感謝の高め方1--感謝の瞑想
・感謝の高め方2--感謝の日記
・感謝のリストをつけよう

あとがき

著者紹介

山口創(やまぐち・はじめ)
1967年、静岡県生まれ。早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。専攻は健康心理学・身体心理学。桜美林大学教授。臨床発達心理士。タッチングの効果やオキシトシンについて研究している。著書に『手の治癒力』『人は皮膚から癒される』(以上、草思社)、『皮膚感覚の不思議』(講談社ブルーバックス)、『子供の「脳」は肌にある』(光文社新書)、『からだの無意識の治癒力』(さくら舎)など多数。
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