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『枕草子』に魅せられたフィンランド人女性による自伝的エッセイ

◆仕事に行き詰まったアラフォーシングル。新しい人生への旅立ち
仕事にも人生にもうんざりしたアラフォーシングルのフィンランド人「私」は、長期休暇制度を使って日本へ旅立つ。目的は「清少納言を研究する」ため――。
本書は、フィンランド人女性作家によるデビュー作。遠い平安朝に生きた憧れの女性「セイ」を追いかけて、ヘルシンキから京都、ロンドン、プーケットを旅する自伝的長編エッセイです。
◆北欧人から見た日本の魅力、仲間たちとの交流
うだるような京都の夏の暑さ、ゴキブリだらけの「ガイジンハウス」、同居人たちとのドタバタ劇、博物館や図書館での資料探し、東日本大震災による精神的混乱、深夜のバーでの友との語らい、この世のものとは思えないほど美しい桜、女性が生きていくことの困難さ……。清少納言を追い求めながら、語り手は様々な印象深い体験を重ねていきます。
本国では「何度も読みたい本」「人生を変える勇気をくれた」「転職する気になった」「これまでしようと思っていたことを実行することに決めた」などと評され、フィンランド旅行誌「モンド」の旅の本賞、ヘルシンキ首都圏図書館文学賞を受賞しました。
新しい人生へと旅立つ期待と不安を、鮮烈に描いた本作。是非ご一読ください。
【目次】
Ⅰ 始まり。十月
清少納言について知っていること
Ⅱ エスポー。冬から夏
長期休暇――助成金――研究――傲慢と恐怖――引っ越しと出発
Ⅲ 平安京へのタイムスリップ
美と歌の世界
平安時代の女たち
仮名文字
Ⅳ 京都。九月
暑さ――同居人たち――町
『枕草子』とは何だったのか。様々な伝本
Ⅴ 京都。九月。第二部
歌舞伎――石庭――坐禅――能――芸者たち
空っぽの部屋、つまり平安時代の調度品
後宮、つまり女たちの世界
Ⅵ 京都――九州。十月
庭園――宇治――比叡山――金運稲荷たち――列車の旅――美容院にて――手蹟テスト――苔庭にて――セイ、あなたが見える
宗教と食事について
セイ、あなたはどう思われている?
友だちノート、つまり清少納言って誰?
Ⅶ 東京――京都。十一月
大都市――日文研塹壕――ヴォーグ
嫌味なセイとムラサキ――二人の宮廷女房の争い
Ⅷ フィンランド――ロンドン、冬
ものづくしの秘密
ヴァージニア・ウルフと女性事情――セイ
四十二人のセイ――訳書
脱線とセイの後継者たち――文学、映画、音楽
Ⅸ 男たちと恋人たち
恋人との逢瀬
平安時代の男たち
セイの男たちと子どもたち
Ⅹ 津波――タイ
Ⅺ 京都。四月
桜――もののあはれ――兼好と私
源氏狩り
和歌テスト
Ⅻ 京都。五月
坐禅――舞踏――レイのバー
春画よ、セイ
宴会と酒飲みについて
セイの運命
XIII 脱ぐこと、纏うこと
最後の質問、つまり『枕草子』とは何だったのか?
XIV 終わり――始まり。ノルマンディー、八月から九月
謝辞
あとがき
親愛なるミア・カンキマキさん――訳者解説
参考文献
(担当/渡邉)