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三〇通りの理想と現実の折り合いの付け方
孔子、プラトン、マキャヴェッリ、ルソー、トクヴィル、マルクス、クトゥブ、アーレント、ロールズ、ヌスバウム――。本書は古代ギリシャの哲学者をはじめ、儒教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の神学者や指導者、そして「フェミニズムの母」やエコロジストを含む近現代哲学者まで、三〇人の賢者たちの人生と思想を通史的に解説した一冊です。
人が、個人やコミュニティーとして、どうすればより良く生きられるか、普遍的な知恵を追い求めてきたのが本書が紹介する思索者たちです。
例えばアリストテレスは、政治的共同体を「人間の望ましい生活について合意を共有する理性的な人間の集まり」と定義します。選挙は最も優れた人物を選ぶことが目的なのだから、貴族制にこそふさわしいと言います。
マキャヴェッリにとっては、残酷であることが当たり前であった政治の世界において、二つの善や、善と悪からではなく、二つの悪の中からよりましなほうを選ぶことが倫理的に正しい選択でした。
バークにとって統治の技術は理論ではなく実践的なものでした。時間をかけて徐々に進化する伝統的な習慣や慣例に従うべきだと考えたのです。
ガンディーが政治手法とした非暴力主義は、肉体的な欲求を無視し、苦痛や死さえ受け入れられるようにする厳しい訓練に基づいたものでした。
是非本書を紐解いて、私たち自身が生きる政治的環境において、いかに理想と現実の折り合いを付けるか、何らかの新たな視点を見出してください。
(担当/渡邉)
【内容紹介】
孔子、プラトン、アリストテレス、アウグスティヌス、アル=ファーラービー、マイモニデス、トマス・アクィナス、マキャヴェッリ、ホッブズ、ロック、ヒューム、ルソー、バーク、ウルストンクラフト、カント、ペイン、ヘーゲル、マディソン、トクヴィル、ミル、マルクス、ニーチェ、ガンディー、クトゥブ、アーレント、毛沢東、ハイエク、ロールズ、ヌスバウム、ネス――。
古代ギリシャの哲学者をはじめ、儒教、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の神学者や指導者、そして「フェミニズムの母」やエコロジストを含む近現代哲学者まで、三〇人の賢者たちの人生と思想を通史的に解説。
本書は、歴史上有数の政治学者たちの話をこっそり聞ける場所に読者を案内する。読者は、三〇の短い章を通じて、さまざまな魅力的な人物と知り合えるだろう。(中略)
彼らは皆、同時代の政治的情報から真の知識を抽出し、その知識を、人が、個人やコミュニティーとして、どうすればより良く生きられるかについての普遍的な知恵に変えようとした。私たちが選んだのは、最も賢明で、最も大きな影響を後世に与えた三〇人の政治思想家である。彼らの出身地は、アジア、アフリカ、ヨーロッパ、アメリカと、広範にわたる。また、各章の終わりでは、それぞれの賢者が現代の政治的問題に対して提供し得る知恵について考察している。(「序章 政治――かつては力が正義だった」より)
【目次】
序章 政治――かつては力が正義だった
古代
第一章 孔子――聖人
第二章 プラトン――劇作家
第三章 アリストテレス――生物学者
第四章 アウグスティヌス――現実主義者(リアリスト)
中世
第五章 アル=ファーラービー――先導者(イマーム)
第六章 マイモニデス――立法者
第七章 トマス・アクィナス――調停者(ハーモナイザー)
近代
第八章 ニッコロ・マキャヴェッリ――愛国者
第九章 トマス・ホッブズ――絶対主義者
第一〇章 ジョン・ロック――清教徒(ピューリタン)
第一一章 デイヴィッド・ヒューム――懐疑論者
第一二章 ジャン=ジャック・ルソー――市民(シトワイヤン)
第一三章 エドマンド・バーク――反革命主義者
第一四章 メアリー・ウルストンクラフト――フェミニスト
第一五章 イマヌエル・カント――純粋主義者(ピュアリスト)
第一六章 トマス・ペイン――煽動者
第一七章 ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル――神秘主義者
第一八章 ジェームズ・マディソン――建国の父(ファウンダー)
第一九章 アレクシ・ド・トクヴィル――預言者
第二〇章 ジョン・スチュアート・ミル――個人主義者
第二一章 カール・マルクス――革命思想家
第二二章 フリードリヒ・ニーチェ――心理学者
現代
第二三章 モーハンダース・ガンディー――戦士
第二四章 サイイド・クトゥブ――聖戦主義者(ジハーディスト)
第二五章 ハンナ・アーレント――除け者(パーリア)
第二六章 毛沢東――主席
第二七章 フリードリヒ・ハイエク――リバタリアン
第二八章 ジョン・ロールズ――リベラル
第二九章 マーサ・ヌスバウム――自己啓発者(セルフディベロッパー)
第三〇章 アルネ・ネス――登山家
結論――政治と哲学の不幸な結婚