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「無理が通れば道理が引っ込む」のは、建築でもそうなのか?

しばしば著名な建築家が手掛けた奇抜に見えるデザインが、物議をかもすことがあります。近年でいえば、隈研吾の馬頭広重美術館における、木製ルーバーの腐食をめぐる報道が最たるものでしょう。
「無理が通れば道理が引っ込む」、という言葉がありますが、はたして奇抜な建築には「道理」は全くないのでしょうか。利用者や施主の目線から離れて、建築家の視点や建築の歴史を踏まえてみると、普通の意味とは別の「道理」が見えてくるかもしれません。
本書は、自身も建築家である吉田研介氏が、8人の建築家について、作品に触れながら、さまざまな「無茶」のあり方を、歯に衣着せぬ口調で語ってゆきます。彼らの建築の考えや人生観を知ってゆくと、ただ無茶であるだけではないことが見えてくるでしょう。
たとえば、先述の隈氏の建築では、『「目立つ建築をつくろう、目立たないと建築家になれないと思っていた。」「形は普通でも『特別なもの』は作れると気づいた」それが木だったのだ。』と吉田氏が指摘するように、これまで現代建築の巨匠が用いてこなかった、木という素材を使うことそれ自体が彼にとって何よりも重要だったのであり、いまの「木の巨匠」としてのポジションをみればその先見性は見事だったというほかありません。
そこに絶壁があるから山に登る、という人がいるように、困難な建築だからこそ作りたいという建築家もいるのです。
そんな建築家という生き物の性(さが)を見つめる、批評的な建築エッセイです。
(担当/吉田)
<紹介する建築家>
隈研吾 負ける建築を標榜していたら、ほんとに負けた?
安藤忠雄 夏は暑く冬寒い、便所は外を通って行く家でも学会賞をとった住宅
ザハ・ハディド 国際コンペで磯崎新が強引に通したのに、途中で中止になった計画
ヨーン・ウツソン 無名で未経験の建築家が一等に当選した国際コンペ
清家清 間仕切りが全然無い家、子供たちは何処で寝て何処で勉強したの?
東孝光 6坪の土地でもいいから都心に住みたいという建築家の根性
菊竹清訓 子供ができたら床下にカプセルをぶら下げた「スカイハウス」
吉阪隆正 吉阪のすべてがストレートに出た自邸
