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すべては台湾の未来のために

台湾・頼清徳総統、推薦!
「台湾独立運動の父」の波瀾の生涯を
実娘が繊細な筆致でつづる。
本書は、戦後の日本において台湾独立運動のさきがけとなり、また台湾語研究の権威としても知られる王育徳(1924~1985)の生涯をたどるノンフィクションです。2011年に上梓された本人による青年期のメモワール『「昭和」を生きた台湾青年』に続き、今回の本では次女である著者が父親の日記や膨大な資料をもとに、20代で日本に逃れてからの「亡命者としての人生」を描いています。
2.28事件で実兄・王育霖を虐殺されたのち、1949年に文字どおり命がけで日本にやってきた王育徳は、特に以下のような活動を通じて、台湾のための闘いを続けました。
1 台湾独立運動の組織化と啓蒙――1960年、黄昭堂氏ら留学生とともに「台湾青年社」を結成し、機関誌『台湾青年』を創刊。当時、戒厳令下の台湾ではタブーであった2.28事件を世界ではじめて詳細に報じるなど、台湾独立運動の理論的支柱となる。
2 台湾語の学術的研究――「言葉は民族の魂である。言葉を失ったら台湾人は滅ぶ」という信念にもとづき、台湾では禁じられていた母語の研究に没頭。私財を投じて『台湾語常用語彙』を出版し、1969年には東京大学で台湾語研究による初の文学博士号を取得。
3 台湾人元日本兵士への戦後補償運動――晩年の10年間は、日本政府に見捨てられた台湾人元日本兵士たちの権利回復に尽力。1987年の議員立法による弔慰金支給実現の礎を築くも、その成立を見ることなく1985年に急逝。
また、1961年に王育徳が東京で李登輝氏(当時38歳)と秘密裏に面会した際、王は日記に「彼のような快男児が台湾に百人おれば理想郷の建設は夢物語ではない」と記していました。こうした、その後の台湾の歩みを予言するような言説を多数残していることにも、本書を読まれた方は驚くかもしれません。
現在、台湾と日本の間には他の国同士にはない強いきずなが存在しますが、そこに至るまでに、故郷に帰ることも許されず闘いを続けた「亡命者」がいたという事実は、残念ながらあまり知られていません。王育徳という人物が戦後の日本社会の中で命を削って守り抜いた志が、多くの日本の読者に届くことを願ってやみません。
(担当/碇)
目次
はじめに
第1章 亡 命
二・二八事件――国民党軍による武力弾圧/台南一中の教師生活/やむをえぬ決断/香港へ脱出/香港で見た「自由」/密輸船で日本へ/下関から神戸へ/偽の外国人登録証
第2章 東京大学再入学と台湾語の研究
東京大学に復学/中河与一の門下生になる/台湾語の研究を志す/不法滞在者としての東京生活/左翼的な雰囲気の東大文学部/自首/邱永漢『密入国者の手記』による誤解/学者としての暮らし/家を売って辞書を出版
第3章 台湾青年社
黄昭堂との再会/廖文毅の台湾共和国臨時政府/一九六〇年二月二十八日、台湾青年社発足/機関誌『台湾青年』の創刊/留学生たちの反応/自宅をアジトに/妻・雪梅の内助の功/四面楚歌の状況/「ここは工場だ。革命製造工場だよ」/史上はじめて二・二八事件を世に問う/李登輝との密会/月刊化と強力な助っ人の出現/資金調達に苦心惨憺/連日連夜の活動/台湾青年社加入者の覚悟/言論活動か実力行使か/新体制に移行/台湾青年会から離れる決心
第4章 言論活動の手応え
『台湾――苦悶するその歴史』の執筆/時代を先取りしたビジョン――論考の紹介/博士論文執筆/大学教師として
第5章 台湾民主化への道のり
組織名の変遷と機関誌『台湾青年』の役割/苦難の時代(一九六四年〜一九六八年)/投降――台湾独立運動者たちの挫折/事実と異なる証言について/育徳の組織への復帰/世界的な組織・台湾独立聯盟の発足/カンパ行脚の記録/最大の支援者・遠山景久/国連の「中国」代表権問題/封印された育徳の「国台合作論」
第6章 台湾人元日本兵士の補償請求運動
台湾人元日本兵・中村輝夫の発見/元同胞を切り捨てた日本政府/「一度でいいから日本に行ってみたかった」/「台湾人元日本兵士の補償問題を考える会」発足/「考える会」の活動/国を相手に訴訟に踏み切る/「議員懇談会」の発足と台湾からの圧力/非情の判決を乗り越えて/東京高裁裁判長による異例の「付言」/突然すぎる旅立ち/議員立法成立/「考える会」解散
結び 一寸の虫にも五分の魂
娘としてのあとがき
巻末資料一 台湾語の研究
巻末資料二 台湾青年に告ぐ│発刊の言葉にかえて│
巻末資料三 主張「中国代表権問題について」
王育徳著作一覧
関連年表
