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エビデンスに基づいた、画期的組織理論

◆「幸せになるには?」「生産性を上げるには?」永遠の問いに科学が答えを出した!
「幸せの秘密は、身近なところに隠れているのでは?」。
これは世界中で古くから、多くの物語が繰り返しテーマとしてきた「永遠の問い」です。しかし、答えなど永遠に出ないかに思えたこの問いに、最近、ある科学研究が決定的な答えを出した、と言ったら驚くでしょうか。「幸せの秘密」が本当に身近に隠れていたことを、最新のデータ科学が解き明かしたのです。しかも、その「幸せの秘密」が「組織の生産性向上の秘密」であることも示されました。
この研究では、多様な企業の多様な現場において、独自に開発したデバイスを用いて、仕事中に従業員同士がいつ誰と会話しているか、どのくらい身体が動いているかなどを記録。さらに個々の従業員への幸福感に関するアンケート、職場ごとの生産性指標なども収集しました。それらを元にした、実に1兆件・21年間におよぶデータ解析から、すべての人・組織に共通する「幸せと生産性の法則」を明らかにしたのです。研究を行ったのは、ベストセラー『データの見えざる手』『予測不能の時代』でビジネス界に衝撃を与えた本書の著者、矢野和男氏のチームです。
◆幸せと生産性のカギは、人間関係ネットワークの中にある「三角形」
その「幸せと生産性の法則」とは、組織の人間関係ネットワークの形にありました。よく会話をする人同士を線で結んだ人間関係ネットワークの中に、三角形が多いほど、従業員の幸福感が高く、生産性も高いことがわかったのです。ここでいう三角形とは、自分の知り合い2人も知り合い同士であるような3者関係です。自分の知り合い2人同士が知り合いではなかったら、3人の関係は自分を頂点とするV字になります(図参照)。ネットワークの中にV字が多いと、逆に従業員の幸福感も生産性も低くなります。

あなたに2人の上司がいるとしましょう。両者が会話しない関係にあり、それぞれが相反する指示をしてくるような状況は、V字がもたらす弊害の典型例で、この場合に幸福感も生産性も低下することは納得できると思います。もしこの2人の上司が、互いによく話をする関係にあれば、そのような弊害が起きないだけでなく、両者はあなたの状況について相談し、あなたへの仕事の流量も互いに調整することができるでしょう。それだけでなく、著者らの研究によれば、三角形が多くなると、受注率などの具体的に計測できる生産性指標が向上すること、組織の問題解決能力が上がることや、さらには学習能力が高まることまで、明らかになっています。さらに本書では「なぜ三角形が増えると、幸福感や生産性が上がるのか」「どうすれば組織内に三角形を増やせるのか」といった問いにも、答えを出しています。
古くからある普遍的問いへの答えを出し、わたしたちの日常や、仕事のあり方、社会を変えるきっかけを与えてくれる。そのような本は、そうあるものではありません。ビジネスパーソンはもちろんのこと、幸せや人間関係に興味のある方に広く読んでいただきたい一冊です。
(担当/久保田)