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子供たちの前途を祝する書

どうしたらいいかわからない時代に僕が中高生に言いたいこと
内田樹 著
どうしたらいいかわからない時代に僕が中高生に言いたいこと

本書はこの数年間に内田樹氏が中高生に向けて語った講演、寄稿、インタビューをまとめたものです。

書名にある「どうしたらいいかわからない時代」とは、人口減少と高齢化という我が国における前代未聞の状況を指しています。厚労省の試算では2100年の日本の人口は中位推計で4850万人。これから年間90万人ペースで減っていくことになります。

そして2065年には高齢化率が38.4%、3人に1人は65歳以上という社会になります。加えてAIやロボット化といったテクノロジーの進展もあり、子供の進学や就職を考えるにあたって、親や教師たちのこれまでの成功体験は役に立ちません。内田氏自身、「正直言って、僕にもわかりません」と記します。

それでは大人は子供に何を言えるのか。内田氏は「好きなことをやりなさい」と言うのが一番いい、と語ります。「好きに生きたって、子どもたちはやっぱりきちんと挫折したり、他の人たちに傷つけられたりして、いつの間にか人間的成長を遂げますから」。

これからの社会のありようを予測できないと打ち明けながらも、だからこそ子供たちにとって根源的なアドバイスが綴られます。

「自分が生きたいように生きればいい。(中略)そして、周りにいる友だちがやりたいことをすることを支援する。そうすることによって君たちの世代全体の能力を高める。それが君たちに与えられた世代的なミッションなんです」

子供たちの前途を祝するメッセージに溢れた本書は、大人の読者にとっても勇気が湧いてくる一冊です。是非ご高覧ください。

(担当/渡邉)

内容紹介

「自分が生きたいように生きればいい。
そして、周りにいる友だちがやりたいことをすることを支援する。
そうすることによって君たちの世代全体の能力を高める」

著者が中高生に向けて「正直かつ親切に」語った
講演、寄稿、インタビュー。

「どうしたらいいかわからない時代」に皆さんは突入してゆくんです。
「こうすればうまくゆく」という過去の成功体験はこれからは使いものになりません。頭を切り換えないといけない。
どうしたら自分の潜在能力を開花させることができるか、どうやったら自分のパフォーマンスを最大化できるか。どうやったら自分の頭がもっとよくなるのか――。

目次

ポストコロナの時代を生きる君たちへ
(コロナ後の世界/受験競争が過熱する中国/人口減少が急激に進む日本/好きなことをやりなさい/能力を発揮するには/隣の人に親切に)

今、中高生に伝えたいこと。進路について

無数の「助けて」を聴き取ること

天職とは、仕事の方から呼びかけてくる
(集団全体の知的パフォーマンスを向上させる/外国語を学ぶことの意義/学びを通じて別人になる)

著者紹介

内田樹(うちだ・たつる)
1950年、東京都生まれ。思想家、武道家。神戸女学院大学名誉教授、凱風館館長。著書に『ためらいの倫理学』、『レヴィナスと愛の現象学』、『他者と死者』、『先生はえらい』、『私家版・ユダヤ文化論』(小林秀雄賞)、『日本辺境論』(新書大賞)、『前-哲学的 初期論文集』など多数。伊丹十三賞受賞。
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