話題の本
話題の本一覧
- 追いつめられる金一族、成熟しない韓国政治。またもや半島が波瀾の目に。
- 子供たちの前途を祝する書
- フランス旅行で建築を見ない人はいない。なぜならそれは歴史の証人だから
- 「明日に向かって種を蒔け!」 2000年以上前から伝わる心に刺さる不思議な名言
- 孤高の天才による、童心溢れる藝術作品
- 長期目線のドラフト戦略なくして、真に強い球団はつくれない。
- 365日続くなんの変哲もない日々!
- 1761年創業の古書店でのおかしな体験記
- 「知と文化の集積地」古書街は、いかにして作られてきたか?
- 空のすばらしい色、かたち、輝き
草思社ブログをご覧ください
元素を知れば、複雑な世界が面白いほどわかる!

宇宙はどう誕生したのか。なぜ携帯電話で通信できるのか。環境負荷を減らすにはどうしたらよいのか……本書は、この世界の最小の材料である「元素」が、身近な疑問から世界規模の課題まで、どのように世界を成り立たせているのかという「世界のレシピ」について紹介するものです。
■元素のおもしろエピソードを選りすぐり
突然ですがみなさんは、リンはどのようにして発見されたかご存じでしょうか。実は、尿が金色なので、これを煮詰めれば金を得られるのではないかと考えた錬金術師が、それを実行した結果発見したのです。いきなりこんな話で始まって恐縮ですが、これは目に見えている現象が理解できなくても、元素について理解すると途端にわかるという、化学の面白さを端的に表しているエピソードだといえます。
本書は、そのエピソードのセレクトの秀逸さと、語り口のユーモアにおいて、これまでの化学本とは一線を画しています。例えば、元素のベスト10を決めようと思ったけど、傑出した9つと、ものすごく役立たない1つを紹介することにした結果、「ここではっきり言おう。ジスプロシウムは人類の歴史から取りのぞいても、いっさい何も変わらない唯一の元素である。周期表で最もつまらない元素であるジスプロシウムに敬意を表する。」とコメントしてしまう著者のセンスに脱帽です。これほど面白がって読める化学の読み物というのはそうお目にかかれないことでしょう。
■化学の教養もしっかり身につく
とはいえ、本書ではただ面白い話を紹介しているのではなく、それらの逸話をうまく構成して、元素の発見の歴史、周期表が現在の形に整えられてゆく過程もしっかり押さえられています。笑いながら読んでいるうちに、元素とこの世界の関係が身についてしまっていること請け合いです。
(担当/吉田)
【目次】
第1章 炎を追いかけた人々
第2章 これ以上分割できないもの
第3章 マシンガンとプディング
第4章 原子はどこから来たのか
第5章 マス目ごとに
第6章 量子力学が危機を救う
第7章 大きな音をとどろかせるもの
第8章 錬金術師の夢
第9章 急進派の原子
第10章 酸、結晶、光
第11章 生きている! たしかに生きている!
第12章 世界を変えた九つの元素(と、変えなかった元素)