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いかに過去と上手に向き合うか。幸せに生きるための方法論

誰しも思い返したくない、つらくて嫌な記憶を持っているでしょう。親や兄弟姉妹、友人、恋人やパートナー、教師や上司、同僚らとの人間関係に齟齬をきたしたことのない人は存在しないでしょう。特に幼少時をはじめ、多感な思春期に経験した傷は、その後の人生に少なからずの影響を与えます。
一方、溢れんばかりの多幸感に包まれ、うっとりとして過ごした記憶を持っているのも私たちです。親に甘えたり、友と語らったり、恋人と愛をささやいたりした輝かしい時間は、残念ながら忙殺される日常に埋もれてしまって、めったに思い出されることはないかもしれません。
ベルクソンの記憶に関する洞察を紹介することから書き起こされる本書は、私たちがいかに過去とうまく付き合うかが、精神的な自由を得て、幸福に生きていくことにつながるかを教えます。
社会に出て仕事に就くと――ましてや家庭を持ち、子供ができると――常に何かに急かされているかのように忙しく、過去と対話することなどほとんどなく、嫌な思い出が悪夢として蘇ってきた時に、過去の自分を恨むくらいかもしれません。
しかし、著者が本書を執筆する動機の一つとなったように、大切な誰かの死が契機となり、過去が私たちに重くのしかかってきて離れないことがあります。「自分にはもっと何かができたのではないか」。歳を取るということは、こうした喪失をいくつも抱えることにほかなりません。
どうすれば過去と上手に向き合うことができるのか――。哲学、文学、映画、音楽、スポーツにおいて明かされてきた知恵を、最先端の認知神経科学やそれに基づくセラピーの知見に照らし合わせながら、幸せに生きていくための方法論を考察した本書を、是非ご一読ください。
(担当/渡邉)
内容紹介
過去とうまく向き合うことが、前へ向かって進むこと。
哲学、文学、映画、音楽、スポーツにおいて明かされてきた知恵を、
最先端の認知神経科学やそれに基づくセラピーの知見に照らし合わせながら、
上手に過去と対話し、幸せに生きていくための方法論を考察する。
フランスの人気哲学者による、大人のための哲学エッセイ。
ひとつめは過去へのアプローチ。過去を受け入れ、書き換える動きといってもいい。過去とは旅への誘いであると同時に改変可能な素材でもある。この素材を通して人は、自分が継承したものを理解し、それをいかにして身につけてきたかを知る。
二つめは未来へのアプローチ。行動だ。過去を創造的に捉え直し、新たな体験を重ね、新たな記憶をストックすることで行動に移る。行動の積み重ねには時間がかかることも承知しておかなければならない。過去から新たなものを生み出し、継承から創造に移るにはタイミングが重要だが、こればかりは必ずしも自分で選べるわけではない。
三つめは世界や他者など、外へのアプローチ。心を開くことで、ひとつめのアプローチから二つめへとスムーズに移行できるようになる。実際、過去を適切な場所に整理し、ルサンチマンの罠を避け、受容から行動へとステップ・アップするには、他者や世界に関心を向けるのが最善策となる。(本文より)
目次
第一章 ベルクソンの天才的直観
第二章 あらゆるかたちで浮かぶ過去
第三章 過去は現在への扉
第四章 アイデンティティの基盤としての過去
第五章 過去に背を向ける
第六章 過去に支えられる
第七章 過去に介入する
第八章 過去とともに歩む
おわりに
謝辞
原注
人名索引
