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謎に満ちた「人体の仕組み」を対話形式でやさしく解き明かす!

アスリートのための運動生理学
榎木泰介 著
アスリートのための運動生理学

 本書は最新のスポーツ科学の知見をもとに、「私たちが体を動かしているとき、体内ではどんな現象が起こっているのか」を解き明かす本です。心臓・肺・肝臓・腎臓・胃腸など基礎となる臓器の役割や仕組みを対話形式でわかりやすく解説するだけではなく、乳酸やホルモンが運動とどのように関わっているのか、人体のエネルギー代謝のしくみはどこまで解明されているのか、また、低酸素トレーニングにはどんな効果が期待できるのかといった注目すべきトピックスまで、やさしく明快に説明しています。乳酸悪玉論に代表されるような「かつての常識」と現在の知見のギャップを楽しみながら、スポーツ科学の最先端を知ることができる本です。

 著者は現在、大阪教育大学で応用健康科学、運動生理生化学等を専門に研究・講義を行なっているほか、同学のアメリカンフットボール部顧問も務めていて、医科学トレーニングや技術指導にも尽力しています。この本の冒頭で著者は「私がなぜ運動生理学を専門に学ぼうと思ったのか。それは、どうして同じ練習をしてもその能力に個人差が出るのか疑問に思い、そもそもヒトの『体力』 や『運動能力』とは何なのかということに興味が湧いたからです」と書いているのですが、これは少しでもスポーツに携わったことがある人なら誰しもが心に抱いたことがある疑問ではないでしょうか。

 こうしたきわめて根源的な問いをベースに、私たちの体の中で起こっている現象を個別具体的に詳説してくれるのが本書の特長といえます。「アスリートをはじめ多くの方にとって、運動生理学が実用的で有効で、それでいてとても奥が深い学問だと知ってもらえますように」という著者の思いが、多くの方に届くことを願ってやみません。

(担当/碇)

目次

Chapter0 今、運動生理学が面白い!
・運動生理学への誘い
・「運動生理学」ってどんな学問?

Chapter1 運動生理学の基礎・基本
・心臓を知る
・肺を知る
・肝臓を知る
・腎臓を知る
・胃腸を知る(胃)
・胃腸を知る(腸)
・脾臓・胆嚢・膵臓を知る
・ホルモンを知る

Chapter2 ヒトのからだの不思議を紐解く(エネルギー代謝を理解しよう)
・エネルギー代謝と競技特性
・練習の積み重ね=エネルギー代謝
・「限界」を探求する
・「限界」の観点から見たスポーツの面白さ
・乳酸は名脇役!?
・乳酸再考
・疲労を正しく理解する:その1
・疲労を正しく理解する:その2

Chapter3 スポーツ・健康と運動生理学
・フィジカルとパフォーマンスを「つなげ」「整える」
・長距離ランナーにおける筋トレの有効性
・高地・低酸素トレーニング最前線:その1
・高地・低酸素トレーニング最前線:その2
・スプリント持久力:高強度運動を反復する能力
・子どもとスポーツ:発育・発達期の適切な運動量とは
・運動生理学というフィルターを通して見た東京2025世界陸上
・何歳になっても健康でいるための取り組み:その1
・何歳になっても健康でいるための取り組み:その2

著者紹介

榎木泰介(えのき・たいすけ)
大阪教育大学准教授。1976年生まれ(大阪市阿倍野区)。1999年大阪教育大学卒業、2005年東京大学大学院総合文化研究科生命環境科学系修了。博士(学術)。2003年ゲルフ大学(カナダ)留学後、2004~08年国立スポーツ科学センター(JISS)スポーツ科学研究部研究員(生化学研究室)、2007~08年女子美術大学非常勤講師等を経て、2009年大阪教育大学講師。2016年より現職。JISS在職中はトップアスリートの生化学的分析、コンディション調整や体重増減の身体への影響などの国際競技力向上に貢献する調査、研究を行う。現在は応用健康科学、運動生理生化学等を専門に研究、講義を行うほか、同学アメリカンフットボール部顧問を務め、医科学トレーニングや技術指導にも尽力している。著書(共著)に『乳酸をどう活かすか』(杏林書院)、『トレーニング指導者テキスト理論編改訂版』(大修館書店)、『ミトコンドリアトレーニング』(市村出版)など。JATI認定トレーニング指導者(JATI-ATI)。
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